Bench崩壊の創業者に再びKhoslaが1000万ドル出資

Syntheticの挑戦

完全自律型AI簿記サービスを構想
発生主義ベースの財務諸表を人手なしで生成
現時点ではプロトタイプ段階で技術的実現性に不確実性
対象顧客をAI・ソフトウェア系スタートアップに限定

創業者の再起と投資判断

前作Benchは2024年に経営破綻し売却
Khosla Venturesが1000万ドルのシードを主導
ShopifyのCEOリュトケらも参加
Khoslaパートナーは「逆張り」投資哲学を強調
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2024年に突然の事業停止で数千社の顧客を混乱に陥れた会計スタートアップBench Accounting。その創業者Ian Crosbyが新会社Syntheticを立ち上げ、Khosla Ventures主導で1000万ドルのシード資金を調達しました。Basis Set VenturesやShopify CEOのTobias Lütkeも出資に参加しています。

Syntheticが目指すのは、人間の会計士を介さず完全自律型AIで発生主義ベースの財務諸表を生成するサービスです。Crosbyは「完全自律でなければリリースしない。それができなければ終わりだ」と語り、既存の会計スタートアップとは一線を画す姿勢を示しています。ただし、現在のAIモデルには簿記計算で重大なミスが残るとCrosby自身も認めています。

Khosla Venturesのパートナー Jon Chuは、Crosbyへの投資を「逆張り」と表現しました。Zenefitsを追われた後にRipplingを170億ドル企業に育てたParker Conradの例を引き合いに出し、「人には成長の余地がある」と語っています。Chuは、Bench退任後にCrosbyと働いた複数の幹部から高い評価を得たことも投資判断の材料になったと明かしました。

Crosbyは2021年にBenchの取締役会から解任されており、その後の経営陣のもとで会社が破綻に至ったと主張しています。解任の背景には、Brexからの2億5000万ドルの買収提案を断ったことや、経営スタイルへの社内の不満がありました。退任後はShopifyに在籍し、会計スタートアップTealを創業してMercuryに売却するなど実績を重ねています。

Syntheticのプロトタイプは限定的なユーザーには機能するものの、より広い顧客基盤への拡張は未知数です。Crosbyは自動運転車になぞらえ「1本の道は走れるが、あらゆる道で走れるかはわからない」と率直に課題を認めつつ、「数年分の資金を確保した。基盤モデルの進化を待てる」と長期戦の構えを見せています。