Amazonがデータセンター網を刷新、電力4割減を実現
詳細を読む
Amazonは、データセンターのネットワーク設計で大きな技術的突破を果たしたと発表しました。「RNG(Resilient Network Graphs)」と名付けられた新方式は、従来の構造化されたネットワークとランダム型の性能優位性を組み合わせた「準ランダム」設計です。2024年後半から実際のデータセンターに静かに導入されてきました。
データセンターのネットワークは1980年代半ばから「ファットツリー」と呼ばれる階層型構造が主流でした。安定性は高いものの、構造が硬直的で配線が複雑になるという課題がありました。イリノイ大学の研究チームが2012年に提案した「Jellyfish」というランダム型ネットワークの概念は有望でしたが、実用規模への拡張には成功していませんでした。Amazonのチームは2023年からこの課題に取り組み、ペンローズ・タイリングの着想を経て、最終的に準ランダム型の設計にたどり着いたといいます。
この設計で鍵となるのが、ShuffleBoxと呼ばれるAmazon独自開発の光学装置です。ルーター間の接続を内部で自動的にシャッフルし、従来のような複雑な配線を大幅に簡素化します。WIREDの取材によると、従来型の雑然としたケーブル群と比べ、ShuffleBoxを通す新設計のケーブルは整然としているとのことです。
性能面の改善は顕著です。従来のネットワークと比較して、ルーターとスイッチの数を69%削減し、データスループットは33%向上しました。ネットワーク関連の消費電力は40%減少し、運用コストも27%下がっています。AWSネットワークエンジニアリング担当バイスプレジデントのMatt Rehder氏は「ネットワークを平坦化することで、従来設計に伴うボトルネックを排除した」と述べています。
注目すべきは、この技術が生成AI向けではなく、日常的なデータセンター運用の効率化を目的としている点です。AI訓練のデータパターンは集中的に統制されており、ランダムグラフとは相性が異なるとRehder氏は説明しています。最初の導入先はアイルランドのダブリンで、その後ドイツやスペインにも拡大。現在は新設データセンターのほとんどにRNG方式が採用されています。