「再帰的自己改善」がAI業界の新たな流行語に

RSIを追う研究者たち

Richard Socherが専門企業を設立
KarpathyのAuto-Researchが公開進行中
AdaptionがAutoScientistを発表
DisarrayのMLエージェントがKaggleで28メダル獲得

実現への課題と見通し

Google Pichai氏「まだそこには至っていない」
自己方向付け能力が最大の弱点
専門家間で到達時期の評価が大きく分裂
「人間不要」の定義を満たす段階には未到達
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AI業界で「再帰的自己改善」(RSI)が新たなバズワードとして急浮上しています。RSIとは、AIシステムが自らを継続的にアップグレードし、人間の介在なしに改善サイクルを回せる状態を指します。かつてのAGI(汎用人工知能)と同様に、多くのAI研究所がこの目標を掲げ始めましたが、その定義や実現時期については依然として意見が分かれています。

RSIを明確な目標に掲げる動きが相次いでいます。著名なAI研究者Richard Socher氏は今月、社名にRSIを冠した「Recursive Superintelligence」を設立しました。テスラOpenAI出身のAndrej Karpathy氏は、エージェント群を使ってLLMを訓練する「Auto-Research」プロジェクトをGitHubで公開しています。Karpathy氏は現在Anthropicのプリトレーニングチームに所属しており、より大規模な適用が見込まれます。

一方で、現時点のAIがRSIに到達していないことを示す証拠も多くあります。GoogleのSundar Pichai CEOは「進歩は確実にあるが、RSIと呼べる段階にはまだない」と認めました。Anthropicの内部調査では、最新モデルが中堅エンジニアの代替になりうるとの評価もありましたが、週単位の曖昧なタスク管理や組織の優先順位の理解といった自己方向付けの能力に弱点が残ると指摘されています。

ジョージタウン大学CSETが専門家を集めた調査では、RSIの到達時期について「間もなく超知能的な爆発が起きる」とする楽観派と「緩やかな進歩の後に停滞する」とする慎重派に大きく分裂しました。METR のAjeya Cotra氏は、AIが人間なしで何らかの研究成果を出せる「十分性」の段階には近いとしつつ、人間と同等の「同等性」やそれを超える「優越性」の実現時期は不透明だと分析しています。AGIと同様に、RSIもまだ実現には至っていないというのが研究者の共通認識です。