トランプ大統領、AIモデル事前審査の大統領令に署名
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トランプ大統領は2026年6月2日、AIモデルの公開前に連邦政府が審査する任意の枠組みを設ける大統領令に署名しました。対象となるAI企業は、フロンティアモデルを一般公開する最大30日前に政府へ提出し、サイバーセキュリティ能力の評価を受けることができます。ただし提出は義務ではなく、大統領令自体が「強制的な許認可制度と解釈してはならない」と明記しています。
この大統領令は当初、5月下旬に署名される予定でした。しかし初期草案がAI企業に最大90日前の提出を求める内容だったため、業界から強い反発が起きました。元ホワイトハウスAI担当のDavid Sacks氏がトランプ大統領に「過度な規制はイノベーションを阻害し、対中競争で不利になる」と進言し、署名式は直前に中止されました。その後、Susie Wiles首席補佐官やBessent財務長官ら推進派が修正作業を主導し、提出期間を30日に短縮した現行版がまとまりました。
方針転換の背景には、Anthropicが4月に限定公開したMythosモデルの存在があります。Mythosは主要なOSやウェブブラウザを含む数千件の深刻な脆弱性を検出したとされ、AIモデルのサイバーセキュリティ上のリスクがホワイトハウス内で強く認識されるきっかけとなりました。大統領令はさらに、AI支援によるハッキングや不正アクセスを司法省の重点執行分野に指定しています。
Google、Microsoft、xAIはすでに商務省傘下のCAISI(AI標準・イノベーションセンター)への事前審査に同意しており、OpenAIとAnthropicもバイデン政権時代から同機関とモデルを共有してきました。今回の大統領令はこうした既存の取り組みを制度的に位置づけるものですが、あくまで任意参加であるため実効性には疑問も残ります。AI安全推進団体からは歓迎の声が上がる一方、議会による義務的な法制化を求める動きも出ています。