欧州初の超大型計算機JUPITER、4分野で成果披露

脳と気候の解明

脳地図モデルCytoNetを5日未満で訓練
死後脳21体・6.5PBデータを学習
気候を1km解像度で全球シミュレーション
海洋・大気・炭素循環を統合再現

通信と量子の前進

EricssonとAIで6G網を共同開発
電力な神経模倣型アーキテクチャ採用
50量子ビット計算機の完全模擬に成功
従来48量子ビット記録を更新

GPU基盤の威力

NVIDIA Grace Hopperで全演算を駆動
エクサスケールが研究から実用段階へ
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半導体大手NVIDIAは6月22日、ドイツの研究機関ユーリッヒにある欧州初のエクサスケール級スーパーコンピューターJUPITER」が、独ハンブルクで開催中の国際会議ISCで4つの科学プロジェクトの成果を披露したと発表しました。脳の細胞単位での地図化、全球気候の精密模擬、次世代通信網のAI、量子計算機の模擬という、これまでの計算機では到達できなかった課題に挑んでいます。JUPITERはNVIDIA製の「Grace Hopper Superchip」を中核に構築されています。

脳研究では、ユーリッヒ脳アトラスのチームが脳の微細構造を解析する基盤モデル「CytoNet」を開発しました。人間の脳は860億のニューロンと約100兆の接続を持ち、細胞単位での理解は困難でしたが、4,096基のGrace Hopperを用いて5日未満で訓練を完了しています。研究チームは次の段階として、脳研究者を支援するAIエージェントの構築を進めています。

気候分野では、ETHチューリヒなどの研究者が開発したモデル「ICON」が、地球システム全体を1キロメートル解像度で結合シミュレーションする世界初の成果を上げました。海洋・大気・陸域に加え炭素循環まで統合的に再現する点が画期的で、20,480基のGrace Hopperを使い、実際の気候146日分を24時間の計算で処理する世界記録を樹立しています。

通信分野では、通信機器大手のEricssonとユーリッヒが3月に提携を発表し、5Gの進化と6G網に向けたAI開発でJUPITERを計算基盤として活用します。脳に着想を得たアーキテクチャにより、複雑なネットワーク運用を大幅に低いエネルギーで処理することを目指しています。

量子計算では、ユーリッヒの研究者が50量子ビットの万能量子計算機を完全に模擬し、従来の48量子ビットの記録を更新しました。CPUとGPUのメモリを密結合したGH200の構造により、GPU単体の限界を超える量子状態を保持できた点が突破口となっています。この模擬器「JUQCS-50」は、量子アルゴリズム設計の検証基盤として研究者に開放される予定です。

神経科学から気候、通信、量子まで広範な科学を支えるJUPITERの実績は、エクサスケール計算が研究段階から実用段階へ移行したことを示しています。これらの成果は、科学の最前線におけるGrace Hopper基盤の有効性を裏付ける証左となりました。