SAP、AI生成コードの企業実装は基盤整備が課題

実行の壁

戦略保有81%、実行は12〜16%
コード生成と運用は別問題
10〜20年の保守と統制が必須

統合と統制

分断システムの統合層
権限継承と自律型の2モデル
OpenTelemetryで可観測性

開発者の役割

差別化の源泉は独自知見
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SAPのビジネス・テクノロジー・プラットフォーム担当CPO、Michael Ameling氏は2026年7月9日、AIによるコード生成が普及する一方で、それを大企業の本番環境で確実に動かす段階でつまずく企業が多いと指摘しました。同社の調査では、詳細なAI戦略を持つ組織が81%に上るものの、実際にAI主導の実行段階へ到達したのはわずか12〜16%にとどまります。コードを生成することと、それを運用可能にすることは別の問題だという見方です。

課題の多くはコードの品質ではなく、既存環境との整合にあります。多国籍企業では、コンプライアンスセキュリティを損なわずに、10〜20年にわたり保守やパッチ適用を続けられることが求められます。AIは組織のデータや業務プロセスの成熟度を増幅するものの、それ自体を代替することはできないとAmeling氏は述べます。

とりわけ統合が、多くの企業が見落としがちな設計課題です。実際の企業環境はクラウド、レガシーのオンプレミス、分断されたデータストアが混在し、相互接続を前提に作られていません。AIエージェントが動き出す前に、データアクセスと業務コンテキスト、統制を束ねる共通レイヤーを整える必要があります。

統制の面では、AIが助言役から実行役へ移った瞬間に、人間の従業員と同じ説明責任の枠組みが必要になります。SAPは、利用者の権限を引き継ぐ「principal propagation」と、独自の識別子と役割で動く「システム起動型」という2つのモデルを想定します。OpenTelemetryを軸に、第三者製エージェントも含めた一貫した可観測性を確保する方針です。

開発者の役割も、その重心が移っていきます。複数のコーディングエージェントを並列で走らせることで生産性は大きく高まる一方、人間が文脈を追い、出力を評価し、アーキテクチャ上の判断を下す負荷は増します。Ameling氏は、競争優位の源泉はツールではなく、各社が持つ独自の業務知見をいかにシステムへ埋め込むかにあると強調しました。