ELIZAの原本コード発見、多彩な人格が判明

チャットボット数学MIT

原本コードの発掘

MIT保管庫から原本コード発掘
書籍『Inventing ELIZA』で解析
定説を覆す高度な設計

複数の人格

医師役Doctorは一台本に過ぎず
数学や詩など多彩な台本
会話追跡と文脈記憶を実装

現代AIへの示唆

台本を分離した先駆的設計
ボットと利用者の共創関係
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世界初のチャットボットとして知られるELIZAの実際のソースコードが、MITの保管庫からこのほど発掘されました。研究者らはMIT出版局から刊行された書籍『Inventing ELIZA』でこのコードを解析し、単純なパターン照合の域を超えた高度なプラットフォームだったと明らかにしています。1960年代半ばに登場した本ソフトは、人と機械の対話のあり方を根本から変えました。

最大の発見は、ELIZAが複数の人格を演じ分ける仕組みを備えていた点です。多くの人が同一視する精神療法士のふるまいは、実は「Doctor」と呼ばれる一つの台本にすぎませんでした。創始者ジョセフ・ワイゼンバウム氏は、システム本体と台本を分離する設計を採用していたのです。

台本を差し替えることで、ELIZAは数学や詩、色彩、相対性理論、さらにはエレベーターまで、多様な話題を扱えました。教育用に開発された台本群では、条件付きキーワード照合という技術革新により、過去の発言を追跡し、利用者の回答に応じて会話を分岐させることも可能になっています。これはソクラテス式の対話を模したものでした。

こうした設計は、現代のソフトウェア設計を先取りしていたと評価できます。設定をデータとして扱う手法やプラグイン構造、ドメイン固有言語といった発想が、システムと台本の分離という形で既に体現されていました。1966年の学術論文では、ワイゼンバウム氏があえて記述を省いた技術的詳細も存在します。

研究者らが強調するのは、台本だけで人格が完成するわけではないという点です。ボットと利用者が共同で対話の意味を作り上げる、その協働こそが重要だと指摘しています。言語やセラピー、人間とコンピュータの相互作用に関する当時の前提は、今日のAI開発にも影響を与え続けているのではないでしょうか。