Intuit、AIエージェント基盤を2度刷新

破綻の構造

オーケストレーション層の連鎖破綻
エージェント間の自然言語受け渡し
ホップごとに誤差増幅

60日での再構築

スキルとツール基盤へ移行
20日で初動版、60日で完成
実顧客クエリの実証デモ

顧客との新接点

会話中に人間を招集
フィードバックがほぼ100%
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会計ソフト大手のIntuitが、AIエージェントの基盤を約4カ月の間に2度も作り直していたことが明らかになりました。同社AI担当VPのNhung Ho氏がイベント「VB Transform 2026」で語ったもので、専門特化型エージェント群から中央集権的なオーケストレーション層へ、さらにそれを捨ててスキルとツール中心の構成へと移行しました。2度目の再構築には60日を要し、最初の稼働版は20日足らずで完成したといいます。

オーケストレーション層が破綻した原因は明確でした。各エージェントが処理結果を自然言語で次のエージェントへ受け渡す仕組みだったため、受け取った側は前段の判断過程を推測せざるを得ず、その推測が受け渡しのたびに劣化していったのです。Ho氏は「10個のエージェントが互いに渡し合えば、その都度エラーが複利的に膨らむ」と述べ、10段のチェーンは設計上必然的に誤差を増幅させたと説明します。

再構築で難しかったのは技術的判断そのものより社内の説得でした。経営層には実際の顧客クエリを使った新旧比較デモを示して証拠で納得させ、専門エージェントを作った数百人のエンジニアには、自作のエージェントを個別のスキルとツールへ分解するよう求めました。標準的なエージェントが一つの課題しか解けないのに対し、共有されるスキルやツールは同じ機能に触れる全顧客に役立つという規模の論理が説得材料になったといいます。

顧客から見て最も分かりやすい成果は、AIとの会話の途中で人間を呼び込める機能です。ユーザーはIntuitのサポート担当や自分の会計士、同社の簿記担当者を、エージェントがそれまでに行った文脈ごと会話に招き入れられます。現在は顧客の約1%への早期テスト段階ですが、数週間のうちに拡大する予定とのことです。

再構築はフィードバックの集め方も変えました。従来は明示的な意見を寄せる顧客が全体の0.3%程度にとどまり内容も好悪に二極化しがちでしたが、チャット型では一つ一つの会話がそのままフィードバックとなり、その割合はほぼ100%に近づいたといいます。Ho氏はこの膨大な声を体系的に分析するモデルを作るため、自らコードを書く作業に戻ったと明かしました。