Meta幹部、AIエージェント基盤の再構築に20カ月

崩れる3つの前提

容量・ID・速度が同時に破綻
非人間IDへのアクセス制御不全
コード生成46%でも配信は不変

データ層の再設計

信頼できるデータ環境で監視統治
バッチETLからリアルタイム配信
推論に耐えるスキーマ認識ストレージ

残された猶予

人間向け20年に対し再構築20カ月
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Meta(メタ)でデータ基盤を統括するエンジニアリング担当VP、バラク・ヤグール氏は2026年7月、カンファレンス「VB Transform 2026」で講演し、企業のITインフラは人間向けに設計されておりAIエージェント時代には対応できていないと警告しました。同社のデータシステムに届くエージェントからの問い合わせは半期で30倍に急増し、20年かけて築いた前提が崩れ始めているといいます。

ヤグール氏は、社内インフラ容量・アイデンティティ・速度という3つの前提が同時に破綻していると指摘しました。容量面では「1エンジニア=1負荷」という常識が通用せず、1人が10のエージェントを起動し、さらに各々が下位エージェントを生む結果、1000人の組織が一夜にして10万人分の負荷を生み出すと述べています。

アイデンティティの面では、エージェントが人間でもデプロイ済みサービスでもなく、バッジも持たないまま自律的に判断するため、既存のアクセス制御の枠に収まりません。速度の面では、GitHub Copilotが平均ユーザーのコードの46%を書く一方、テストや配信の工程は速くならず、CI/CDパイプラインが新たなボトルネックになると語りました。

対策として同社が重視するのが信頼できるデータ環境です。エージェントは内部で自由にデータを探索できる一方、出力はすべて出所まで追跡・精査され、機微なフィールドは到達前にマスクされます。ヤグール氏はこの方針を「広く探索し、狭く公開する」と表現し、2月に投入したエージェント型データアプリは3カ月で社内ダッシュボードの63%に採用されたと明かしました。

モデルが相関から推論へ移行するにつれ、データ層自体も書き換わっています。「推論はデータを大量に消費する」として、ランキング処理は24時間かかるバッチETLからリアルタイム配信へ、ストレージは中身を理解して必要な列と期間だけを取り出すスキーマ認識型へと移行中です。同社は毎秒5億クエリ、学習データ読み出しで毎秒1ペタバイトの処理能力を目指しています。

こうした基盤刷新は、利用者への提案にも直結します。Instagram42%のユーザーがアルゴリズムそのものの変更を望んでいるとし、ヤグール氏は意図を推論する会話型レコメンドを紹介しました。同氏は「人間向けに20年かけて築いた基盤を、人とエージェントが協働する世界へ作り替える時間はおそらく20カ月」と述べ、猶予の短さを訴えました。