Suno活用の新曲、数百回の反復編集で高評価

倫理音楽

制作手法

自作の歌唱素材をSunoへ投入
Abletonでの編集と再投入の往復
数百回に及ぶ反復工程

評価された理由

AI特有の粗さの不在
人間の生声を前面に配置
ハイパーポップ調で違和感を吸収

残る論点

DeezerでのAI生成表示
環境負荷と倫理面の課題
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米メディアのThe Vergeは7月19日、生成AI音楽サービスSunoを用いて制作された音楽家1010Benjaの楽曲「Semiramis' Dream」を取り上げ、AI音楽に否定的だった評者が良さを認めざるを得なかったと報じました。自ら作詞・歌唱した素材をSunoに通し、編集と再投入を数百回繰り返す制作手法が、量産型のAI楽曲と一線を画したと指摘しています。

評者が注目したのは、AI生成物にありがちな手掛かりが乏しい点です。最もAIらしい要素であるバックコーラスの合唱も、ハイパーポップ的な高速のチョップ処理に紛れ、加工された人工的な声が当たり前の現代ポップの文脈にうまく溶け込んでいます。生身の歌声が中心に据えられていることが、全体の説得力を支えました。

1010Benja本人は、AIの使用を隠していません。インタビューでは、友人がビートを作り、自身がボーカルを録音したうえで、その素材をSunoに投入し、出力をAbletonで編集して再びSunoに戻す工程を繰り返したと説明しています。配信サービスのDeezerでは同曲がAI生成として表示されており、「隠していないし、恥じてもいない」と語りました。

一方で、AI利用に伴う負荷や倫理についても本人は自覚的です。環境への影響を認めつつ、企業の動きは止められないという諦めに近い見方を示しています。生成AIを使う理由として挙げたのは、構想が自分の資力を超えているという現実で、家賃を払えない状況にあることにも触れました。

評者は、それでも懐疑的な立場を崩していません。児童合唱の質感を含め、同曲の音響的な要素の多くは重ね録りと丁寧なボーカル処理で再現可能だと指摘しています。結論として示されたのは、Sunoが必ずしも粗製濫造の装置ではなく、使い手次第で作品性を担保できるという一点でした。