MIT CSAIL所長ルス氏、ドイツ最高額の技術賞受賞
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MITコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)所長のダニエラ・ルス氏が2026年7月23日、ドイツ・ミュンヘンでバイエルン州首相ハイテク賞を受賞しました。バイエルン州政府と同州科学・人文アカデミーが共同で贈るこの賞は、ドイツの技術・工学分野で最も賞金額の大きい賞です。ロボティクス、人工知能、自律システムへの貢献が評価されました。
選考委員会が挙げたのは、自己組織化するロボット群、ソフトロボティクス、自律移動、そして脳に着想を得た人工知能という4つの領域です。いずれも研究室の外で通用する機械を作るという、30年におよぶ取り組みに連なるものです。ルス氏はCSAILの分散ロボティクス研究室を率い、交通、農業、医療、家庭、環境モニタリングへ自律ロボットを送り込むアルゴリズムとシステムを開発してきました。
その成果は意表を突くものが少なくありません。研究チームは、子どもが誤って飲み込んだボタン電池を消化管から回収する折り紙型の飲み込めるロボットや、自ら連結して橋や足場を組み上げる小型自律ボートの群れを作りました。後者は都市の水路を、必要に応じて姿を変えるインフラへと変えてしまいます。
もう一つの柱がリキッド・ニューラルネットワークです。体長1ミリの線虫の神経系に着想を得たこの構造は、わずか19個の制御ニューロンで未知の環境を車両に走らせることができ、従来型アーキテクチャでは届かない効率を示しました。この研究をもとに、ルス氏はCSAILの元関係者であるラミン・ハサニ氏らとMITからLiquid AIを創業し、動作するデバイスのハードウェア制約を前提に設計したモデルを開発しています。
ルス氏は「AIは人間がやりたがらない仕事を機械に任せる力を与える」と述べ、人間と機械は対立するものではなく、どちらか一方では解けない問題をともに解く一つのシステムだと語ります。同氏はこれまでに2025年のIEEEエジソンメダルや2024年のジョン・スコット賞を受け、2002年にはマッカーサー・フェローにも選ばれています。フィジカルAIが産業界と政策担当者双方の関心事となるなかでの受賞であり、家事や工場という身近な例の枠を超えて自律ロボットを社会基盤に組み込む研究に、評価が集まった形です。