MIT、原子力発電所の自律運転制御を研究
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マサチューセッツ工科大学(MIT)原子力科学工学科の博士課程に在籍するローレン・フォティエ氏が、原子力発電所の自律運転を実現する監督制御システムの研究を進めています。人手に頼る従来の運転を見直し、遠隔地の小型原子炉でも少人数で安全に運用できる仕組みを目指すものです。米海軍の原子炉運用者として空母で培った現場経験が、この研究の出発点となっています。
フォティエ氏はノースウェスタン大学で材料科学を学んだ後、米海軍の原子炉運用者として南シナ海の空母で勤務しました。原子力への完全な依存を体感するなかで、運転作業の多くが極めて手作業に頼っている現状に気づき、効率化の余地を意識するようになったといいます。海軍の派遣制度を利用してMITの修士課程に進み、運転の現場から研究の世界へと移りました。
研究の背景には、原子力を安価で競争力のあるクリーンエネルギーにするという課題があります。100%稼働の大型施設では大人数の運転体制もコストに見合いますが、各地に分散配置される小型原子炉では多くの人員を確保できません。そこで、十分に検証された監督付きの自律運転が、次世代の商用マイクロリアクターの普及を後押しすると期待されています。
技術面での特徴は、人と機械が互いの得意分野を分担し、必要なときだけ人が介入する統合型の制御を目指す点です。フォティエ氏は有限状態機械と呼ばれる手法を採用しており、これは「この事象が起きたらこうする」という事象駆動で動く、実行過程が透明な仕組みです。機械学習のような統計的手法は、動作を検証する手段がまだ十分でないため採用していないと同氏は説明します。
研究は学内外の連携に支えられています。MITとアイダホ国立研究所(INL)を兼務する指導教員のもと、制御理論の専門家やウェスチングハウスなど産学の協力を得ながら開発を進めてきました。こうした成果が評価され、同氏は2025年に米エネルギー省の学生研究コンペで受賞しています。
フォティエ氏が重視するのは、利用者の信頼を損なわない段階的な自律化です。まず作業手順を一つずつ案内する自動化から始め、あらかじめ決められた手順ではなく目的に応じて操作の順序を組み立てる制御へと発展させていく考えです。ステークホルダーとの関係構築が研究の実効性を高めていると同氏は語っています。