SAP調査、AI投資利益率21%もデータ品質が壁
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ソフトウェア大手SAPは7月30日、Oxford Economicsと共同でまとめた「SAP Value of AI Report 2026」を公表しました。13カ国の経営層2,600人を対象とした調査で、AIは平均的な組織の業務の30%を担い、前年の25%から広がっています。一般的なAIの投資利益率は16%から21%へ、エージェントAIへの期待値は10%から17%へ上がりました。
最大の障害はデータです。より多くの価値を引き出せない理由として73%がデータの品質と可用性を挙げ、79%は低品質な出力による手戻りや遅延を経験しています。基盤モデルの普及でデータを集めて整える手間は減った半面、ERPから抜き出した時点で失われる業務上の文脈をどう保つかが新たな論点になりました。
統制の備えはさらに遅れています。AIを統制する準備が十分だと答えた企業は12%にとどまり、69%が承認されていないシャドーAIの利用を認めました。SAPのAI Agent Hubはエージェントやモデル、MCPサーバーを検出して一覧化する機能を持ち、顧客は自社にあると知らなかったエージェントを数千件見つけたといいます。
次の拡大局面を担うのがAIエージェントです。SAPの最高AI戦略責任者ショーン・カスク氏は、目的を与えれば複数の手順とツールを自ら使い分けて成果にたどり着くと説明します。同社はすでに400を超えるAIユースケースを投入しており、ベータ版の未払費用計上エージェントでは中堅企業の会計担当者が月12時間かけていた作業を2〜3時間に減らしたといいます。
一方で、投資の進め方はばらついたままです。AI投資が場当たり的な組織は半数を超え、戦略的に全社で優先順位を付けられていると答えたのは17%にすぎず、前年の9%からほぼ倍増したとはいえ少数派です。69%が投資対効果に満足する半面、67%は潜在力を出し切れていないと考えており、成果を確認したからこそ次の課題が見えた形です。
人の側の準備も欠かせません。回答者の約80%がAIの価値を最大化するには技術研修だけでは足りないと考え、75%はすでに従業員の再教育を計画しています。ただし本レポートはSAP自身が手がけた調査であり、自社製品に有利な文脈で読まれやすい点は割り引いて受け止める必要があります。