MIT、AIで10万分子設計しナトリウム電池の溶媒発見
AI主導の分子探索
小さな溶媒DMFSA
ナトリウム電池の利点
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マサチューセッツ工科大学(MIT)のJu Li教授が率いる研究チームは8月4日、リチウムに頼らないナトリウム金属電池向けの新しい電解液溶媒を見つけたと明らかにしました。学術誌Jouleに掲載された論文では、AIによる分子設計と実験検証を組み合わせ、10万個の候補分子から「DMFSA」と呼ばれる最小の溶媒を選び出した経緯が示されています。
ナトリウムはリチウムに比べて存在量が約1000倍あり、重量あたりのコストは約100分の1です。一方でナトリウム金属は反応性が高く、長期安定性と高速な充放電の両立が難しいという課題を抱えていました。電解液が電極と余計な反応を起こし、不溶性の生成物が電極を覆ってイオンの移動を妨げるためです。
研究チームは2021年に、硫黄と酸素、窒素からなるスルホンアミド分子「DMTMSA」がリチウム電池の両電極で安定に働くことを見いだしていました。今回はこの分子を出発点に、より小さな溶媒を探しています。溶媒が小さいほどナトリウムイオンは動きやすくなり、充電と放電を速められるからです。
材料科学専攻の博士課程学生Chia-Wei Hsu氏が組んだAI主導のアルゴリズムは、24時間で10万個の候補分子を設計しました。チームは形状や電子物性がDMTMSAに近いという基準で200個まで絞り込み、範囲全体を代表する27種を同一条件で実験比較しています。勝ち残ったのが、最も小さく最も性能の良いDMFSAでした。
通常はイオン輸送を速めると安定性が犠牲になりますが、Li教授は溶媒の小型化がこのトレードオフを避ける新しい道筋になると述べています。研究に関与していないマギル大学のJinhyuk Lee准教授も、分子サイズを設計指針とする発想はナトリウム電池を超えて広く応用できると評価しました。チームはDMFSAを新たな起点に、さらに優れた溶媒の探索へ入っています。