AI不信深刻化、Amodei氏が「信頼の危機」表明
詳細を読む
米調査会社ピュー・リサーチが8月18日発表した調査で、AIの普及に「期待より不安が大きい」と答えた米国人の割合が52%に達し、2021年の37%から急増したことが分かりました。若年層を対象にした別の世論調査でも、著名なAI企業幹部を信頼できないとする回答が多数を占めるなど、AI業界に対する社会の不信感が急速に広がっています。
背景には、AIが日常生活を便利にする実感を伴わないまま、コストや弊害だけが先行しているという不満があります。学校でのAI利用による不正行為の増加や、著作権者に無断で学習データに使われる問題など、負の側面が繰り返し報じられてきました。一方で、iPhoneやパソコンなど過去の技術革新と比べても、AIへの反発は際立って強いと指摘されています。
世論の逆風は企業業績にも波及し始めています。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道によれば、データセンター建設を進めるテック各社は住民の反発を和らげるため、雇用保証や水資源への投資といった譲歩を迫られています。ルイジアナ州のある地区では、大手データセンターの誘致に伴い教員に5万ドルのボーナスが支給される事例も出ています。
政治の分野にも影響は及んでいます。共和党の上院委員会は主要AI企業に対し、データセンター建設がオハイオ州の重要選挙で党の劣勢につながっていると警告する覚書を送付したと報じられました。AIをめぐる不満は、もはや技術論にとどまらず、政治的な争点に発展しつつあります。
業界のトップも危機感を強めています。AirbnbのBrian Chesky最高経営責任者は、AI業界が一般の人々に本当に愛される製品を提供できていないことが不信の一因だと述べました。AnthropicのDario Amodei最高経営責任者もSNS上で、AIへの不信は業界にとって「信頼の危機」だと認め、企業や政府への根深い不信感が背景にあると説明しています。
Amodei氏は、AI企業に対する最も的確な批判は、がん治療のような大きな社会的約束を果たせていない点にあると述べ、実際の成果で信頼を取り戻す必要があると強調しました。世論の不信を払拭できるかどうかは、今後のAI業界の成長戦略そのものを左右する重要な課題となりそうです。