マイクロソフト研究者、AI時代は適応力が鍵に

適応力とは何か

変化への気づきと対応力
業界ごとに異なる定義

AI時代の職場環境

技術・メディア業界で離職加速
2030年に技能の4割弱変化

適応力を高める方法

インターン等の実践経験
内省による当事者意識
学習時間確保の重要性
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AI技術の急速な普及によって、エンジニアの働き方が大きく変化しています。米アリゾナ州立大学のサマンサ・ブルンヘイバー准教授は、若手技術者に求められる「適応力」の中身が曖昧なまま語られていると指摘します。同氏は2020年から全米科学財団の助成を受け、企業の管理職や新人技術者への聞き取り調査を続けており、変化を認識し、選択肢を評価し、行動するという3段階が適応力の核心だと説明します。

PwCが2026年6月に公表した報告書によると、技術・メディア・通信業界は他業界より速いペースでスキルの入れ替わりが進んでいます。さらに世界経済フォーラムの報告書では、2030年までに労働者の中核スキルの39%が変化すると予測されています。マイクロソフト開発者生産性を研究するジェナ・バトラー氏は、AIによる変化は「これまでと似た大きなパラダイムシフトだが、進むスピードが速い」と語り、現在は新しい常態が定まる前の「混沌期」にあると説明します。

ソフトウェア開発の現場では、AIが生成したコードのレビュー作業が急増しており、エンジニアの働き方は一様ではありません。バトラー氏は「20人の開発者に聞けば23通りのやり方が返ってくる」と述べ、誰もが試行錯誤を続けている段階だと指摘します。今後はコードを1行ずつ書くよりも、モデルへのプロンプト作成やエージェント管理が中心になる可能性があるといいます。

一方、1999年に「達人プログラマー」を共著したソフトウェア開発者のアンディ・ハント氏は、日々使うツールは変化しても仕事の核心は安定していると強調します。同氏によれば、問題解決とコミュニケーション能力こそが不変の中心であり、特定の言語を専門とするのは「大工が『自分はハンマー使いだ』と名乗るようなもの」だと例えます。

ブルンヘイバー氏は、大学時代にインターンシップやチームでの共同作業を経験させることが、卒業後の適応力を養うと説明します。あわせて内省の習慣を持ち、自分には状況を乗り越える主体性があると認識することが重要だとも述べます。企業側の責任として、バトラー氏は週1時間でも構わないので、成果を求めない学習時間を確保するよう経営層に促しています。

バトラー氏は今後数年について「厳しい時期になり得る」としつつ、変化は一方的に受け入れるものではないと強調します。どのモデルをどう使うかは技術者自身が選び取れる部分であり、「適応しつつも、その流れ自体を自分たちで方向づける必要がある」と述べ、AIが変える未来はまだ確定していないと締めくくりました。