MIT、AI新素材候補の安定性を事前確保
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米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、AIが設計する新素材候補の化学的安定性を生成の初期段階で担保する新手法「CrysVCD」を開発し、学術誌ネイチャー・コンピュテーショナル・サイエンスに発表しました。AIモデルは大量の材料候補を生み出せる一方、不安定な設計の除去に膨大な計算コストが必要でした。今回の成果はこの非効率を解消し、実用的な新素材開発を加速します。
新手法は、言語モデルと拡散モデルを組み合わせた2段階の生成プロセスを採用しています。まず言語モデルが電子配置に関する化学の基本則を満たす妥当な組成式を提案し、その組成式をもとに拡散モデルが原子レベルの結晶構造を生成します。開発を主導したミンダ・リー准教授は「生成モデルをDVDに例えるなら、我々の仕組みはDVDプレーヤーのようなものだ」と述べ、既存・将来のどのモデルにも組み込める汎用性を強調しています。
研究チームがこの手法を検証したところ、厳格な安定性試験である格子振動安定性で約7割の材料が基準を満たしました。さらに、力学的安定性は68%、準安定性は85%に達しています。生成後に不安定な候補を選別する従来手法と比べ、桁違いに効率的に安定した材料を得られることも示されました。
この手法は、半導体チップやデータセンターの冷却に欠かせない高い熱伝導率や誘電率を持つ材料の設計にも応用できます。データセンターでは消費電力の3割が冷却に使われており、放熱性能に優れた新素材へのニーズが高まっています。研究チームは、安定性と目的の性能を同時に満たす材料を効率よく絞り込めると説明しています。
この手法が対象とするのは、内部構造が規則正しい固体材料が中心です。計算資源が限られる中小の研究室でも、無駄な検証コストをかけずに新素材の開発に取り組めるようになる可能性があります。研究チームは、材料設計の裾野を広げる技術として今後の応用拡大に期待を寄せています。