既存採用プロセスの課題
Jack & Jillの解決策
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ロンドン拠点のスタートアップJack & Jillが、会話型AIで採用プロセスを刷新するプラットフォーム開発のため、シードラウンドで2000万ドル(約30億円)を調達しました。EUの投資会社Creandumが主導したこの資金調達は、大量の応募とミスマッチに悩む既存の求人市場に一石を投じるものです。同社は既にロンドンでサービスを開始しており、米国市場への拡大を目指します。
現在の求人市場は、大きな課題を抱えています。求人サイトに募集を出すと、わずか数時間で1000件もの応募が殺到することも珍しくありません。しかし、その多くはAIによる自動応募など質が低いもので、企業は応募者を確認すらしないケースもあると、創業者マット・ウィルソン氏は指摘します。この「シグナル対ノイズ比」の低さが、採用の非効率性を生んでいます。
Jack & Jillは、この課題を解決するため、求職者向けの「Jack」と企業向けの「Jill」という2つのサービスを提供します。求職者はまず、AIとの約20分間の面接を通じて自身のプロフィールを構築。それに基づき、厳選された求人リストが提示され、模擬面接などのトレーニングも受けられます。企業側は、求める人材像に合致した候補者の推薦を受け取ります。
ウィルソン氏が目指すのは、単なるAIによるマッチングの自動化ではありません。彼は、採用プロセスの中心に「会話」を据えることで、履歴書だけでは分からない候補者の能力や適性を見出し、より本質的なマッチングが実現できると考えています。これはLinkedInやIndeedが登場して以来、約20年間大きな変化がなかった採用手法の再発明と言えるでしょう。
同社は今回調達した資金を活用し、既に約5万人のユーザーを抱えるロンドン市場での成功を足がかりに、米国市場への本格進出を計画しています。AIを活用した一次面接は世界的に広がりつつありますが、Jack & Jillのアプローチは採用の非効率性を根本から解消する可能性を秘めています。より多くの人々が自分に適した仕事に就ける世界の実現に向け、挑戦が始まります。