Google、量子計算加速へMIT発新興企業を買収
買収の概要
注目の独自技術
目指す将来像
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Googleは2025年10月2日、同社の量子AI部門にマサチューセッツ工科大学(MIT)発のスタートアップ、Atlantic Quantumのチームが加わると発表しました。同社の持つ独自のハードウェア技術を取り込むことで、大規模な誤り耐性量子コンピュータの開発を加速させる狙いです。この動きは、実社会の課題解決に向けた量子コンピューティング開発競争が新たな段階に入ったことを示唆しています。
今回のチーム合流の決め手は、Atlantic Quantumが持つ「モジュラーチップスタック」技術です。これは、量子コンピュータの心臓部である量子ビットと、それを制御する電子回路を極低温環境下で高密度に統合する革新的なアプローチであり、これまで技術的課題とされてきたハードウェアの拡張性(スケーラビリティ)を大幅に向上させることが可能になります。
この技術統合により、Googleの量子プロセッサ開発は一層加速することが期待されます。チップの設計・製造が効率化され、より多くの量子ビットを安定して搭載できるようになるためです。実用的な量子コンピュータの実現にはハードウェアの規模拡大が不可欠であり、今回のチーム合流はその重要な一歩と言えるでしょう。
Googleが目指す最終目標は、計算エラーを自動訂正する「誤り耐性」を持つ大規模量子コンピュータの構築です。これが実現すれば、創薬や材料開発、金融モデル最適化など、従来手法では解決不可能だった問題に取り組めるようになります。社会に大きな利益をもたらす技術への投資を、同社は今後も続ける方針です。
量子コンピューティング分野では、巨大IT企業間の開発競争が激化しています。今回の発表は、Googleがハードウェアのスケーリングという核心的課題に対し、外部の優れた知見を取り込んででも解決を急ぐという強い意志の表れです。今後の技術開発の進展から目が離せません。