2千万人のTome捨てCRMへ。AIが顧客管理を変革
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AIプレゼンツール「Tome」で2000万ユーザーを獲得した創業チームが、その成功を捨て、AIネイティブなCRM「Lightfield」をローンチしました。既存のCRMが抱える「手入力の手間」を解消し、顧客との対話データをAIで自動処理する新時代の営業基盤を目指します。
創業者のKeith Peiris氏は、プレゼンツールでは文脈の維持に限界がある一方、CRMは重要だが満足度が低い点に着目しました。顧客関係という「最も深い文脈」を扱うため、エンジニア中心のチームで1年間のステルス開発を経て、大胆なピボットを敢行しました。
Lightfieldの最大の特徴は、事前に定義されたフィールドへの入力を強制しない点です。通話やメールなどの非構造化データをそのまま保存し、AIが必要に応じて情報を抽出します。これにより、営業担当者はデータ入力作業から解放され、本来の業務に集中できます。
導入効果は劇的で、あるユーザーは数ヶ月放置していた案件をAIの支援で復活させ、対応時間を週単位から日単位へと短縮しました。従来のCRMでは「データ管理係」だった営業担当者が、Lightfieldを使うことで本来の「クローザー」としての役割を果たせるようになります。
現在、Y Combinatorなどの初期スタートアップを中心に、SalesforceやHubSpotといったレガシー製品を避ける動きが加速しています。Lightfieldはこの層をターゲットに、複数の営業ツールを統合したプラットフォームとして、市場への浸透を狙います。
AI特有のハルシネーション(誤情報)やプライバシーへの懸念に対し、同社は「人間の判断を拡張する」設計を徹底しています。完全に自動化するのではなく、ドラフト作成や提案を行い、最終的な送信や更新は人間が承認するプロセスを採用し、信頼性を担保しています。