AI音楽クローンとオープンソースへの反発が拡大
ミュージシャンたちの怒りと対抗措置
オープンソースとウェブコンテンツの権利防衛
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ミュージシャンたちのAIクローン楽曲への怒りが、2025年末にかけて一気に沸騰しています。SpotifyやDeezerなどの主要ストリーミングサービスに、実在アーティストを装ったAI生成楽曲が無断でアップロードされる事件が続発しており、被害を受けたアーティストたちは「最悪だ」「恥知らずだ」「全くのゴミだ」と強い言葉で非難しています。
アンビエント音楽の先駆者ウィリアム・バシンスキーのSpotifyページには、彼の作風とは全く異なるレゲトン曲が掲載されるという事態が発生しました。バシンスキー本人は「全くのゴミだ。混乱も極まれりだ」とThe Vergeに語り、自身のレーベルと販売代理店が監視を続けていることに救いを求めています。
ロックバンド「キング・ギザード・アンド・ザ・リザード・ウィザード」のフロントマン、スチュ・マッケンジーは、AIなりすまし事件に対して「私たちは本当に終わりだ」と語り、怒りと諦念が入り混じった反応を示しました。解散中のバンド「Here We Go Magic」も、AIによって「復活」させられるという不本意な経験を強いられています。
AIカントリー楽曲「Breaking Rust」はBillboardのカントリーデジタル楽曲セールスチャートで首位を獲得し、「AIが首位」という誤解を招く見出しが拡散しました。しかしこのチャートはiTunes購入数を測定するもので、わずか3,000件の購入で首位になれるニッチな指標です。背後にいる人物が購入を操作した可能性も指摘されています。
GNOMEプロジェクトは、GNOME Shell拡張機能ストアのレビューガイドラインを更新し、「AIが生成した拡張機能は認めない」という新たな条項を追加しました。開発補助ツールとしてのAI使用は認めつつも、コードの大半がAIによって書かれていることが認められれば申請は却下されます。オープンソースコミュニティでの品質管理と開発者の主体性を守る姿勢の表れです。
Creative Commonsは、AIクローラーがウェブコンテンツを収集するたびに対価を支払う「ペイ・トゥ・クロール」制度への慎重な支持を表明しました。Google検索などの従来のウェブクローリングとは異なり、AI技術はユーザーをサイトに誘導しないため、従来の見返りが失われているという問題意識が背景にあります。
Creative Commonsは支持に際し、いくつかの重要な条件を提示しています。研究機関・非営利団体・教育機関などへのアクセスは維持すること、ペイ・トゥ・クロールをウェブ全体のデフォルト設定にしないこと、そして制度は標準化・オープンな仕様で構築すべきことなどを求めています。
一連の動向は、AIの急速な普及に伴うクリエイターとコミュニティの権利保護問題が、音楽・ソフトウェア・出版の各分野で同時並行的に顕在化していることを示しています。個々のアーティストやプロジェクトによる対抗措置にとどまらず、業界団体や国際的な非営利組織も制度設計への関与を強めており、今後の法整備や業界標準の形成が注目されます。