老舗テック企業がAI統合を本格加速

各社のAI戦略とプロダクト強化

MozillaがAIブラウザ路線を明確化、新CEOが複数モデル対応の「AIモード」をFirefoxに導入予定
プライバシーと信頼を軸に差別化、Googleへの依存脱却と収益多様化も課題
DoorDashがAIソーシャルアプリ「Zesty」をローンチ、自然言語で飲食店を発見
TikTokGoogleなど複数ソースを集約し、ユーザーの好みを学習してパーソナル推薦
AdobeがFireflyにプロンプトベースの動画編集機能を全ユーザーへ展開
FLUX.2・Topaz Astraなど外部モデルも統合、動画の4Kアップスケールも可能に

背景と業界への示唆

AIの台頭がブラウザ・フード・クリエイティブの各市場に新たな競争軸を生み出す
既存ユーザー基盤を持つ大企業がAI機能で差別化を図る動きが顕著に
信頼・プライバシー・オープン性がユーザー獲得の鍵として再注目される
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Mozillaは新CEOのアンソニー・エンツォー=デメオ氏のもと、FirefoxへのAI統合を最優先課題として位置づけました。2026年には複数モデルから選択できる「AIモード」を搭載する計画で、自社LLMの開発は行わず、オープンソースや大手プロプライエタリモデルを活用する戦略を打ち出しています。

エンツォー=デメオ氏は「AIの台頭でユーザーの信頼が損なわれている」と指摘し、信頼とプライバシーを重視するMozillaの立場が競争優位になると強調しました。Firefoxの月間アクティブユーザーは2億人で、特にモバイルでの成長が続いているとのことです。

一方で、Google依存からの収益多様化が急務であることも認めており、サブスクリプション、広告、VPNや「Monitor」といた新サービスの組み合わせで収益基盤の再構築を目指しています。アドブロッカー制限による1億5000万ドルの増収機会は、ミッションに反するとして見送る姿勢です。

DoorDashはサンフランシスコ・ベイエリアとニューヨークで、AIソーシャルアプリ「Zesty」の提供を開始しました。ユーザーはDoorDashアカウントで利用でき、「ウィリアムズバーグでの静かなディナー、内向的な人にも居心地のいい場所」といった自然言語プロンプトで飲食店を検索できます。

Zestyは複数の口コミやSNSを横断してデータを集約し、ユーザーの好みを学習してパーソナライズされた推薦を行います。訪問済み店舗の写真やコメントを共有したり、他ユーザーをフォローしたりするSNS機能も備えており、フードデリバリー特化の枠を超えた体験を提供します。

AdobeはFireflyのビデオ編集機能を全ユーザーに公開しました。従来は全体の再生成しかできなかったところ、テキストプロンプトで空の色や明るさ、カメラアングルなどを部分的に編集できるようになりました。タイムラインビューでフレームや音声を細かく調整する機能も追加されています。

外部モデルの統合も進んでいます。RunwayのAlephモデルで詳細な動画指示が可能となり、Black Forest LabsのFLUX.2が画像生成に、Topaz LabsのAstraが動画の1080p/4Kアップスケールに対応しました。FLUX.2はFirefly全プラットフォームで即日利用可能で、Adobe Expressへの対応は1月からとなっています。

これら3社の動向は、AI技術が成熟した既存プロダクトに深く組み込まれる段階に入ったことを示しています。新興AIスタートアップとの競争において、大企業はユーザーベース・ブランドエコシステムを武器に独自のAI体験を構築しようとしています。