Google Gemini、エアギャップ環境で単一サーバー稼働が可能に

オンプレミス提供の仕組み

CirrascaleがGDC経由で提供
GPU8基搭載の専用アプライアンス
モデルは揮発メモリ上のみに存在
改ざん時は自動で機能停止

規制業界への影響

金融・医療・政府機関が主要顧客
データ主権問題への対応が可能に
専用環境で安定した応答速度を実現
2026年後半に本格普及の見通し
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Cirrascale Cloud Servicesは2026年4月22日、Google Cloudとの提携拡大により、Google Geminiをオンプレミスのエアギャップ環境で稼働させるサービスを発表しました。Google Distributed Cloudを通じて提供されるこのサービスは、ネオクラウド事業者として初めてGoogleの最先端AIモデルを完全プライベートな切断型アプライアンスとして利用可能にするものです。Google Cloud Next 2026に合わせた発表で、プレビュー版の提供が即日開始され、一般提供は6〜7月を予定しています。

アプライアンスはDell製のGoogle認定ハードウェアで、Nvidia GPU8基を搭載し、コンフィデンシャルコンピューティングで保護されています。最大の特徴は、Geminiのモデルが揮発メモリ上にのみ存在する点です。電源を切るとモデルは消去され、ユーザーの入出力データもセッション終了時に自動的にクリアされます。物理的な改ざんが検知された場合は機器が自動停止し、再利用にはCirrascaleやDell、Googleへの返送が必要になります。

このサービスが解決するのは、規制産業が長年直面してきた「最先端AIモデルへのアクセス」と「データセキュリティ」の二律背反です。金融機関や医療機関、政府機関はこれまで、パブリッククラウドAPIを通じて機密データを外部に送信するか、性能の劣るオープンソースモデルで妥協するかの選択を迫られていました。Cirrascale CEOのDave Driggers氏は「フル版のGeminiであり、何も削られていない」と強調しています。

競合との差別化も明確です。MicrosoftのAzure OpenAIAWS Outpostsがクラウド拡張としてオンプレミスを提供するのに対し、CirrascaleのサービスではGoogleインフラから完全に独立した環境でモデルが動作します。最小構成はサーバー1台から導入でき、Google自身のプライベートインスタンスより小規模な展開が可能です。データ主権法への対応として、Google Cloud Platformの拠点がない国でもGeminiを利用できる点も大きな利点です。

料金体系はシートライセンス、トークン課金、定額制の3モデルを用意し、顧客のニーズに柔軟に対応します。ハードウェアの購入とマネージドサービスの組み合わせも可能で、大学や政府系研究機関の予算構造にも適合します。業界アナリストは2027年までにAIモデルの学習・推論40%がパブリッククラウドで実行されると予測しており、プライベートAIへの需要は急速に高まっています。Driggers氏は2026年後半に大手銀行や研究機関が本格導入を開始するとの見通しを示しました。