MIT研究が示す新技術と若年雇用の法則、AIにも当てはまるか

米国医療MIT投資

新しい仕事の担い手

30歳未満の大卒者が最大の受益層
都市部で新職種の集中が顕著
新職種従事者は10年後も新領域に留まる傾向
賃金プレミアムは専門性の希少価値に依存

需要主導のイノベーション

戦時の官民連携が大量の新職種を創出
1940〜50年の新規雇用の85〜90%が技術起因
供給側だけでなく需要側の投資が鍵

AI時代への示唆

医療分野で異なる専門性の活用が社会的に有益
公的資金の活用で雇用創出の方向付けが可能
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MIT労働経済学者デビッド・オーター氏らの研究チームは、1940年から2023年までの米国国勢調査データを分析し、新技術が生み出す雇用の恩恵を最も受けるのが30歳未満の大卒者であることを明らかにしました。研究は「Annual Review of Economics」に掲載予定で、新しい仕事が誰に渡り、どの程度の報酬をもたらし、どのくらいの期間「新しい」ままでいられるかを詳細に検証しています。

2011〜2023年のデータでは、労働者の約18%が1970年以降に生まれた職種に従事していました。新職種には賃金プレミアムが存在しますが、専門知識が広く普及するにつれてその優位性は薄れていきます。オーター氏は「希少価値が失われ、常識になり、自動化される。新しい仕事は古くなる」と指摘しています。

研究のもう一つの重要な発見は、需要主導型のイノベーションの力です。第二次世界大戦期に連邦政府が支援した製造業の拡大を郡レベルで分析したところ、新工場が設置された地域ではより多くの新職種が生まれ、1940〜50年の新規雇用の85〜90%が技術に起因していました。大規模な投資が新たな専門分野を生み出すという構造が確認されています。

AIが既存の仕事を奪うのか、新たな雇用を生むのかという問いに対し、オーター氏は実装の仕方次第だと述べています。医療分野を例に挙げ、単に人間の仕事を自動化するのではなく、異なる専門性を持つ人々がそれぞれ異なるタスクを遂行できるようにする方が社会的に有益だと主張しています。

米国医療費の半分以上が公的資金であることから、政府主導の需要創出によってAIの活用方向を雇用創出に向けることは十分可能だとオーター氏は論じています。過去の技術革新の歴史は、意図的な投資と政策が新たな専門職を生み出す原動力になることを示しており、AI時代にも同様のアプローチが求められています。