マスク対アルトマン裁判、時効で棄却

裁判の結末と争点

陪審が出訴期限切れを認定
慈善信託違反の主張は退けられる
寄付に条件付与の証拠なし
マスク側は控訴の意向を表明

業界への波紋

OpenAI経営陣の未熟さが露呈
ムラティ氏の信頼性に傷
xAIはモデル蒸留後も再構築中
マイクロソフトが唯一の大人役に
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イーロン・マスクOpenAIサム・アルトマンを訴えた裁判で、陪審は2026年5月にマスク側の全面敗訴を言い渡しました。争点はOpenAIの非営利団体から営利企業への転換が慈善信託に違反するかどうかでしたが、陪審はマスクが出訴期限を過ぎて提訴したと判断し、実質的な審理に入ることなく決着がつきました。

裁判の過程では、マスクが営利転換の各段階で逐一報告を受けていたことを示すメール証拠が多数提出されました。マスクの寄付には条件が付されていなかったことも複数の証人が証言しており、慈善信託違反の主張自体が成立困難だったとみられています。マスク側の元パートナーであるシボン・ジリス氏ですら寄付条件の存在を否定しました。

法廷ではAI業界トップ層の未熟さと人間関係の複雑さが浮き彫りになりました。2023年のアルトマン解任騒動をめぐり、ミラ・ムラティ氏が解任に関与しながら表向きアルトマンを支持していたことが暴露され、最も評判を落とした人物と評されています。元取締役のヘレン・トナー氏にもAnthropic との利益相反が指摘されました。

一方、マイクロソフトは裁判を通じて冷静な存在感を示しました。サティア・ナデラCEOのメールは抑制的で、証人尋問でも「マイクロソフトは関与していたか」と確認するだけで終わる場面が繰り返されました。共同被告でありながら実質的に無傷で裁判を終えています。

マスクは控訴する意向を示しており、OpenAIへの訴訟攻勢を継続する構えです。ただし裁判中には、xAIがモデルを蒸留に頼って構築し直している実態も明らかになり、マスク自身のAI事業の競争力にも疑問が投げかけられました。業界関係者の間では、この裁判がOpenAIの事業に実質的な影響を与える可能性は低いとの見方が大勢を占めています。