家事を撮影してロボット訓練データに、Shiftが無料清掃を提供

Shiftの無料清掃モデル

無料清掃の対価は撮影データ
カメラ付き帽子で一人称視点を記録
15カ国で数万人が撮影に参加済み

業界全体のデータ争奪戦

インドのProntoも家庭内撮影で批判
Human Archiveがギグワーカーと連携
専用施設で反復作業を撮影する企業も

物理AIの訓練データ課題

テキストと違い現実世界のデータ収集は困難
高品質な一人称映像が開発のボトルネック
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AIロボット訓練データの収集を手がけるスタートアップMicroAGIが、アプリ「Shift」を通じてニューヨーク市内の家庭に無料の清掃サービスを提供し始めました。清掃員はカメラ内蔵の帽子を着用し、皿洗いや掃除機がけといった家事の一人称映像を記録します。同社はこの映像データがサービス費用を上回る価値を持つと説明しています。

Shiftはすでに15カ国で数万人の参加者を抱え、2026年度第1四半期だけで500万ドル以上を支払ったとしています。ニューヨークを皮切りに、ロンドン、ミュンヘン、チューリッヒなど海外都市への展開も予告しています。大学生や飲食店従業員など幅広い層をターゲットに、積極的な採用キャンペーンも進めています。

同様の動きは業界全体に広がっています。インドの家事代行プラットフォームProntoは、顧客宅での料理や掃除の様子をAI訓練用に撮影していたことが判明し、強い反発を招きました。シリコンバレーHuman Archiveはギグワーカーにカメラ付きキャップを配布し、一人称データの大規模収集を目指しています。

ロボットが物理世界で動作するには、空間認識や力加減など人間が直感的に処理する情報を大量のデータから学習する必要があります。テキストや画像のようにインターネットから大規模に取得することが難しいため、現実世界の行動データが深刻なボトルネックとなっています。その結果、無料サービスやギグワーク報酬と引き換えにデータを集めるビジネスモデルが急速に広がっています。

プライバシー面では、Shiftは顔や個人情報をぼかし匿名化すると説明していますが、利用規約では物損や盗難に対する免責条項が盛り込まれています。今後は清掃だけでなく配管工事や料理といった他の家事領域にも撮影対象を広げる計画です。家庭のデータがロボット開発の「燃料」となる時代が本格的に到来しつつあります。