英国がAIスパコンに15億ドル投資、米国依存脱却へ

国家スパコン計画

15億ドル規模の投資計画
英国チップ企業を優先調達
2030年の稼働開始を目標
推論チップに2億ドル充当

NVIDIAとの連携成果

Isambard-AIが研究基盤に
Sovereign AI基金で4社支援
AI Growth Zone倍増
NHS病院のデジタルツイン構築
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英国政府は2026年6月、総額14.7億ドルの国家AIスパコン計画を発表しました。うち5.3億ドルをハードウェアに充て、推論チップに2億ドルを配分します。調達では英国企業を優先し、推論チップを開発するOlixやFractileなど国内スタートアップの成長を後押しする方針です。研究者やスタートアップは2030年から利用できる見通しです。

この計画の背景には、米中への技術依存からの脱却という地政学的な要請があります。トランプ政権下で米欧関係が緊張するなか、ケンドール技術相は「AI主権とは過度な依存を減らし、レジリエンスを高めることだ」と述べました。欧州連合も同様のテックソブリンティ構想を打ち出しており、英国の動きは欧州全体の潮流と一致しています。

一方、NVIDIAはロンドンテックウィーク2026で英国のソブリンAI推進の成果を披露しました。5,400基のGH200チップで構成されるIsambard-AIは、Sovereign AI基金の支援先であるCosine(コーディング基盤)、Cursive(自己改善型AI)、Doubleword推論最適化)、Prima Mente(アルツハイマー研究)の4社が活用しています。Doublewordはモデル起動を70倍高速化し、推論コストを90〜95%削減する成果を報告しました。

企業のAI実装も進んでいます。Nebius、CoreWeave、BT・Nscaleなどのクラウド事業者が英国内でのAIインフラ構築を拡大し、AIクラウドパートナー数はこの1年で倍増しました。NVIDIA英国スタートアップへの20億ポンドの投資やInceptionプログラムの会員50%増も、エコシステムの厚みを示しています。

英国はARMを擁しながらも半導体設計・製造では米国・アジア勢に後れを取ってきました。政府が大口顧客となることで国内チップ企業の成長を促し、長期的な国内定着を図る戦略です。AIデータセンターが汎用チップから用途別の専用チップへ移行するなか、推論チップという特化領域で存在感を確立できれば、英国にとって大きな地政学的レバレッジとなる可能性があります。