SpaCEX、史上最大の上場で7.5兆円調達
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イーロン・マスク氏率いるSpaceXは6月11日、新規株式公開(IPO)の発行価格を1株135ドルに決定し、総額750億ドル(約7.5兆円)を調達したと発表しました。2019年のサウジアラムコによる249億ドルを大きく上回り、史上最大のIPOとなります。13日からナスダック市場でSPCXのティッカーで取引が始まります。
今回の上場は異例の手法を採りました。通常は上場初日に市場で価格が定まりますが、SpaceXはロードショー開始前から投資家に対し135ドルの目標株価を提示し、結果として募集株式の4倍という強い需要を集めました。仮条件超過分として8330万株の追加売り出し枠も用意され、行使されれば初値で110億ドルの上乗せ調達が見込まれます。
最大の受益者はマスク氏本人です。1株1票のクラスA株を約8.5億株、1株10票のクラスB株を最大56億株保有しており、この価格水準で世界初の兆万長者(トリリオネア)になる見通しです。Valor ManagementのAntonio Gracias氏は約680億ドル相当の持ち分を得るほか、約400人のベンチャー投資家にも巨額の利益が及びます。
一方で、特別目的事業体(SPV)を通じて投資した個人は不透明な状況に置かれています。SpaceXは需要の高さから、SPVの株を元に新たなSPVが組成され、4層から5層に積み重なる前例のない構造が生まれました。AnthropicやAndurilがこうした多層SPVを禁止する中、SpaceXはその正当性が問われる初の大型試金石となります。
下層の投資家は、自分が何株保有するのか、そもそも株を受け取れるのかさえ分からないケースがあります。段階的なロックアップ解除は約4か月かけて進み、最下層への分配は8〜9か月後になる可能性があると指摘されています。さらに各層で抜かれる手数料により、想定より持ち分が目減りする例も出ています。
より深刻なのは詐欺のリスクです。Anduril関連で実在しない割当を偽装したSestante Capitalの運営者は禁錮4年の判決を受けました。連絡の取れなくなったSPV運用者の事例も報告されており、ロックアップ解除後に不正な事業体が露呈するとの見方も出ています。記録ずくめの上場の裏側で、投資家保護という課題が浮かび上がっています。