スマホ依存に反発、スロウテック市場が拡大
再評価される旧機種
脱・常時接続の動き
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米国でスマホ依存からの脱却を目指す「スロウテック」と呼ばれる消費トレンドが2026年6月、TechCrunchの報道で改めて注目を集めています。中古端末販売のBack Marketが、画面を持たないiPod Shuffleの広告をニューヨークの地下鉄に出すなど、あえて機能を絞った旧世代機器が若年層を中心に支持を広げています。背景には、アプリやアルゴリズムが生活のあらゆる場面を仲介する常時接続への疲労があります。
iPodの生みの親として知られるトニー・ファデル氏は、自身が20年以上前に設計した端末の広告を駅で目にし驚いたと語ります。Back MarketのCMOジョイ・ハワード氏は、これまでの「ファストテック」が摩擦の排除を追求してきたのに対し、いまや人々は摩擦をむしろ自分を守る機能として歓迎していると指摘します。米国の成人の約53%がスクリーンタイムを減らしたいと答えているとのデータも紹介されています。
この動きは単なる懐古ではなく、ビジネスの数字にも表れています。市場調査会社Circanaによると、米国のフィットネストラッカー支出は前年比88%増となり、画面のないOura ringやWhoopが売上を牽引しました。中古市場やフリップフォン、e-ink端末のLight Phoneなど、注意を奪わない製品への需要が静かに高まっています。
一方で、完全な「ダムフォン」への移行には限界もあります。スクリーンタイム削減アプリMOQAを開発するオースティン・マレー氏は、銀行取引やホテルのチェックインなど、スマホ前提の社会では端末を手放すのは難しいと述べます。多くの消費者は極端な乗り換えではなく、スマホを使いながら利用時間を減らす中間的な手段を選んでいます。
注目すべきは、AIがこの潮流の両義的な存在である点です。AIは「ファストテック」の象徴である一方、ユーザーに代わって作業をこなし画面から離れる時間を生む道具にもなり得ます。159ドルのAIしおり「Mark」や、サポート終了したハードを再生する事例など、AIで自分の時間と主導権を取り戻そうとする使われ方が現れています。経営者やエンジニアにとって、利便性と注意力のどちらを設計の軸に置くかが、今後の製品づくりの論点になりそうです。