1PasswordがAIトークン費用の管理機能を新投入
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パスワード管理大手の1Passwordは7月14日、企業のAI利用費を可視化する新機能「AI Spend and Consumption Management」を発表しました。既存のSaaS管理製品「SaaS Manager」に組み込む形で提供し、Anthropic、OpenAI、Cursorの3社について、組織のトークン消費と支出をリアルタイムに一元表示します。IT部門と財務部門が、AI投資の実態を把握できずにいる現状を解消する狙いです。
新機能はベンダーの管理APIに直接接続し、トークン単位の消費データを毎日取得します。ベンダーごとの支出上限の設定、閾値超過時のSlackやメールへの通知、チームやユーザー、モデル別の内訳表示という4つの機能を備えます。同社CFOのグレッグ・ヘンリー氏は、追加料金なしで既存のSaaS Manager顧客が利用できると説明しました。現在は公開プレビュー段階で、一般提供は2026年秋を予定しています。
背景にあるのは、AI特有の従量課金がもたらす予算管理の難しさです。従来のSaaSは席数ごとの年間定額で予算化しやすい一方、AIはAPI呼び出しごとにトークンを消費し、費用がモデルや処理の複雑さで変動します。とりわけ自律型のAIエージェントは、リトライループに陥ると数分で数千ドルを消費することもあり、人が気づかぬまま費用が膨らむ点が深刻だとヘンリー氏は指摘します。
同氏はこの構造を、かつてのクラウド費用問題になぞらえます。AWSなどが従量課金を広めた当初、企業は請求を管理する術を持たず、そこからFinOpsという一大市場が生まれました。ゴールドマン・サックスはAIエージェントによるトークン消費が2030年までに24倍に拡大すると予測しており、可視化を怠った組織は「必要以上に長く払い続ける」ことになると同氏は警告しています。
1Passwordの強みは、ID管理基盤の上にコスト管理を構築する点にあります。2025年に買収した英Trelicaの技術で得たアプリ発見機能を土台とし、支出を特定のユーザーやチームに結びつけられます。市場ではZyloやVendrなど競合がひしめき、AIネイティブアプリの支出は大企業で前年比393%増との調査もあります。同社は消費の多寡だけでなく、その支出が事業価値を生んでいるかを見極める意思決定支援ツールとして本機能を位置づけています。