Cohere幹部、AI主権はスタック全体の制御が必要

主権の定義

データ所在地の厳格な統制
GPUから連携ツールまで支配
銀行や病院、政府が対象

適材適所のモデル

エージェントトークン消費急増
課金前提の消費最大化を批判
タスク別のモデルルーティング
8割の用途は小型で十分
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カナダの企業向けAI新興Cohereで製品エンジニアリング担当VPを務めるラシャッド・アラオ氏は今週、米メンロパークで開催された生成AIエージェントの主要会議「VB Transform 2026」で講演しました。同氏は、企業のAI主権とはオープンモデルを落としたり社内ファイアウォールの内側でアプリを動かしたりする以上のものだと主張し、機密データやインフラ、ベンダー変更の自由を手放さずにエージェントを構築する重要性を訴えました。

アラオ氏はGoogleMetaで責任あるAIや信頼・安全のエンジニアリングを率いた経歴を持ちます。銀行や病院、政府といったミッションクリティカルな組織を例に挙げ、「データがどこに存在するか、AIそのものをどう扱うかに非常に厳格な統制を持つことが重要だ」と述べました。AIの運用は、組織が理解し直接管理できる法域で行うべきだという考えです。

その統制はGPUやプライベートクラウド基盤から、モデル間で要求を振り分けるガバナンス機構、さらには企業データに作用するコネクターや検索ツール、エージェント基盤にまで及びます。「スタック全体を制御したい」と同氏は語り、部分的な対策では主権は成立しないとの立場を鮮明にしました。

推論価格の下落で小型モデル最適化の意義が薄れるのではという問いに対し、アラオ氏は総消費量がそれ以上に速く増えていると反論しました。企業が単純なチャットボットから、推論しツールを呼び出し複数手順を踏むエージェントへ移行するにつれ、「トークン利用量は指数関数的に増える」というのが根拠です。同氏はトークン消費に応じて課金する事業者は消費最大化を志向すると指摘し、Cohereはそうした売り方をしないと差別化を強調しました。

処方箋はシンプルで、「その場のタスクに適したモデルを使う」ことです。あらゆる要求を最大のフロンティアモデルに送るのではなく、必要な知能と機密性・規制負荷に応じて振り分けるべきだといいます。同氏は、規制の厳しい業務にオンプレミスのモデルを使い、機密性が低く高い知能を要する業務はNorthプラットフォーム経由で大型モデルに送るカナダのある銀行の例を挙げ、モデルルーティングの有用性を説きました。

先月オープンソース化された「North Mini Code」については、開発者の用途の8割で「はるかに効果的で安価だった」と述べました。同モデルは単一のNvidia H100 GPUで動き、ターミナル作業やコードレビューを狙います。加えて総パラメータ2180億のうち生成時に250億のみ稼働するApache 2.0ライセンスのモデル「Command A+」も公開済みです。同氏は検索がマルチモーダル化しエージェントの一部になりつつあると述べ、ガバナンス層がベンダーロックインの解消につながると締めくくりました。