米政権が50億ドルのAI科学計画を始動
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トランプ米政権は24日、AIを活用した科学研究プロジェクトに総額50億ドルを投じる「Genesis Mission」の初回助成を発表しました。エネルギー省が主導し、5000件を超える応募から278件が採択されました。ホワイトハウスはこの取り組みを「マンハッタン計画に匹敵する緊急性と野心」と位置づけ、AIによって科学的発見を加速させる狙いです。
この助成は、科学顧問のマイケル・クラツィオス氏が議会で売り込む「新たな黄金時代」構想の一環です。同構想は、資金配分を大学などの機関から個人の研究者へ移し、民間企業により大きな役割を与える一方、政治任用者が意に沿わない助成を却下できる権限を強めます。AIやロボット、原子力を優先し、生命科学は縮小する方針を掲げています。
Google、Microsoft、OpenAIといった大手IT企業も、計算資源やAIクレジットなどを提供して参画します。構想は1945年のヴァネヴァー・ブッシュの報告書「科学 その果てなきフロンティア」の後継を標榜しますが、実際には成果重視で短期的な見返りを求める、シリコンバレーの新興企業に近い発想だと指摘されています。クラツィオス氏自身も科学者ではなく、投資家ピーター・ティール氏のファンドで働いた金融・技術政策の出身です。
多くの研究者は、この計画を科学の仕組みを誤解した「政治的な権力掌握」だと批判しています。基礎研究は成果が出るまで何年もかかり、偶然から重要な発見が生まれることも多いため、ベンチャー流の速さと測定可能な成果を求める手法はなじまないというのです。AIによる研究の多くは質が低いとの懸念も強く、玉石を見分ける人材を育てる大学の予算が削られれば、米国の科学競争力そのものを損なうと警鐘を鳴らしています。
一方で、事務負担の軽減や助成審査の迅速化など、多くの科学者が賛同する提案も含まれます。ただ報告書には、「生命科学」への支援を大幅に削りながら「生物科学の基礎研究」を増やすといった矛盾も多く、どの分野が恩恵を受け、どの分野が失うのか定義されていません。研究者らは、大規模な予算削減が続くなかで「黄金時代」という約束との隔たりは大きいとみています。