AI不正疑いのMBA生、イェール大を13訴因で提訴
検出ツールの信頼性
訴訟の広がり
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アメリカのイェール大学経営大学院に在籍していた男性が、期末試験でのAI利用を疑われて停学とF評価を受けたのは不当だとして、2025年2月に同大を連邦地裁へ提訴しました。訴えは契約違反や名誉毀損など13の訴因に膨らみ、記録は125件を超えています。発端は、AI検出ツールが答案を「AI生成の可能性が高い」と判定したことでした。
問題の試験は2024年春の「資金調達と運用」で、4時間の自己計測制、書籍持ち込み可・インターネット禁止という条件でした。72人の受講生のうち、答案の異例の長さを理由に指摘されたのは原告1人だけです。担当教授は検出ツールの判定に加え、ChatGPTの出力との重複や、AIが役に立たない設問での得点の低さを疑いの根拠に挙げました。
原告は検出ツールの信頼性そのものを争いました。聴聞では、30年以上前に出版された学部長や元学長の著作をGPTZeroにかけたところ「AIが書いた確率100%」と出た結果を提出し、誤検知の多さを示そうとしています。フランス出身の原告は、非英語話者の形式張った文章がAIと誤判定されやすい点も指摘しました。
ところが処分の決め手になったのは、AI利用の有無ではありませんでした。大学側は8月から繰り返し、答案PDFの元になったWordファイルの提出を求めましたが、原告は応じません。原告がApple Pagesで書いたため「該当するWordファイルはない」と説明したのは、11月の聴聞当日のことです。
大学は不正の有無を判断する前に、誠実に応じなかったこと自体を規範違反と認定し、1年の停学を科しました。その後の審理でF評価も確定し、学内の不服申し立ては二度とも退けられています。判事も、何度も催促されれば「Wordではなく Pages を使った」と答えるのが自然ではないかと述べ、原告の対応に疑問を示しました。
2026年6月、判事は3度目の訴状変更を認める一方、遅延や濫用に当たりかねないと警告しました。大学側は7月に改めて却下を申し立てており、決着はまだ見えません。検出ツールの判定だけで人を処分できるのか、証拠となるファイルをどう求めどう残すのかという問いは、生成AIの利用規程を整える企業にとっても他人事ではありません。