AIエージェントで低発熱の半導体材料探索、900万ドル調達
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米スタートアップのDiscovered Materialsは8月10日、AIエージェントの群れを使って発熱の少ない半導体材料を探し出す事業で、900万ドルのシードラウンドを実施したと明らかにしました。出資はLightspeed Indiaが主導し、Peak XVやYコンビネーター創業者のポール・グレアム氏らも参加しています。AIの電力消費と冷却という問題を、AI自身で解こうという発想です。
創業者はAdvaith Sridhar氏とAkash Ramdas氏の2人です。スタンフォード大学で材料科学の博士号を取得したRamdas氏の知見と、Persona AIやLuma Labsでエージェント開発に携わったSridhar氏の技術を組み合わせ、Anthropicのモデルを独自のハーネスで動かして材料候補を生成します。挙がった候補は、自社で訓練した基盤物理モデルによるシミュレーションで有望かどうかを検証する仕組みです。
速度の差は歴然としています。「博士課程の頃は1日20回ほどの推測でした。いまはエージェントをクラウドで24時間動かし、1日に数千回の推測ができます」とSridhar氏は説明します。同社はこの日、新材料の例を数百件公開したほか、フロンティアモデルの材料探索能力を測るベンチマーク「Material Discovery Bench」も発表しました。
材料探索にAIを使う動きは、MatNexやSandboxAQ、CuspAIなども進めています。そのなかでDiscovered Materialsは半導体の熱問題に的を絞る点で勝負しており、大手チップメーカーが使う既存材料と同等の性質を持つ材料をすでにいくつか発見したとしています。ただし詳細は公表していません。
難しいのは工学上のトレードオフです。発熱を抑えられる材料が見つかっても、その材料でチップを製造できなかったり、電気特性が損なわれたりすれば意味がありません。出資を主導したLightspeedのHemant Mohapatra氏は「原子構造を相手にしたモグラたたきのようなもの」と表現し、すべての条件が同時にそろって初めて実用になると指摘します。
もっとも、AIが見つけた薬や材料が商業的な成果を上げた例は、まだほとんどありません。生成AI由来で初めて第2相臨床試験に進んだInsilico MedicineのRenterosibが最も近い例で、材料分野では有望な候補が出ても大規模な実用化には至っていないのが現状です。Mohapatra氏も「候補を正しく絞り込み、合成することがボトルネック」と語り、Sridhar氏自身も実際にウェットラボで作る工程は短縮できないと認めています。