AIデータセンター冷却、再生水活用が拡大中
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飲料ブランドLiquid Deathは2026年8月、元米フットボール選手ジェイソン・ケルシー氏を起用し「AIデータセンターを尿で冷やそう」と呼びかける広告を公開しました。冗談めいた内容ですが、専門家によると下水を浄化した再生水を使ったデータセンター冷却は既に業界で広く実践されている手法です。米メディアTechCrunchが背景にある技術と課題を取材しました。
専門家は、生の尿をそのまま冷却水に使うことは非現実的だと説明します。尿には塩分や尿素、有機物が含まれ、蒸発冷却塔に投入すると頻繁な洗浄が必要になるためです。実際に活用されているのは、下水処理施設で膜処理や逆浸透、紫外線処理を経て浄化した再生水であり、宇宙飛行士が尿を飲料水に変える技術とは異なり大規模運用に適しています。
再生水の活用は数十年の実績があり、データセンター集積地でも定着しつつあります。米バージニア州ラウドン郡では2025年時点で1日あたり約2億ガロンの再生水を利用し、データセンター需要の43%を賄っています。残る57%は上水道に依存しており、供給網の逼迫が課題として残ります。
再生水の普及を阻む最大の要因は、下水処理インフラの整備状況です。専門家は、地方に建設されるデータセンターほど近隣に十分な処理施設がなく、再生水を確保しにくいと指摘します。こうした状況を受け、Metaは2.7億ドル規模の下水インフラ投資を表明するなど、データセンター事業者自らが水インフラ整備の担い手になる動きも出ています。
水資源政策の専門家は、再生水インフラへの投資を後押しする税制優遇の法制化を求めています。背景には、データセンターの環境負荷への社会的関心の高まりがあります。米ギャラップ社の調査では、約7割の米国民が自らの地域へのデータセンター建設に反対していると報告されており、Liquid Deathの広告の話題化は、こうした懸念を可視化する一例とも言えます。