TerraPower原子炉、蓄熱でAI電力急変に対応
詳細を読む
ビル・ゲイツ氏が設立したTerraPowerは、AIデータセンター向けとしては初となる原子力発電プロジェクトを年内に発表する見通しです。ブルームバーグが2026年8月18日に報じました。同社の溶融塩冷却炉は、核分裂の出力を一定に保ちながら余剰熱を蓄えることで、AIの学習や推論に伴う急激な電力需要の変動に柔軟に対応できる点が最大の特徴です。
TerraPowerは今回の顧客名を明らかにしていませんが、同社は今年1月にMetaとナトリウム冷却炉8基分の購入契約を締結したと発表しています。現在建設中の第1号機はワイオミング州にあり、データセンター向けとなる第2号機は2027年の着工が見込まれています。
原子炉は出力を一定に保って稼働するほど収益性が高く、米国の原子力発電所は稼働率92.5%と全電源の中で最も高い水準にあります。既存炉は出力を1分あたり約5%しか増減できず、新型の小型モジュール炉(SMR)でも約10%にとどまるとされています。原子力は建設コストが最も高い発電方式であるため、出力を落として稼働させることは経営上望ましくありません。
一方、AIデータセンターの電力需要はGPUの処理状況に応じて急激に増減します。この負荷変動の大きさから天然ガスタービンが損傷する事例も報告されており、対策として大量の蓄電池を導入すればコストがさらに膨らんでしまいます。
そこでTerraPowerが採用したのが、345メガワットの溶融塩冷却炉です。核分裂そのものの出力は変えず、余った熱を巨大な溶融ナトリウムの槽に蓄えておき、需要が急増した際にその熱で蒸気を発生させてタービンを回す仕組みです。需要が低い時間帯も設備を稼働させ続けられるため、高額な投資を効率よく回収できます。
この設計はもともと風力や太陽光など再生可能エネルギーの変動を補う目的で考案されたものですが、変動の激しいAI需要にも同様に応用できます。原子力本来の高い稼働率と蓄熱による柔軟性を両立させた点が、AI向け電源競争におけるTerraPowerの強みとなりそうです。