IBM、ArmとZ命令を同一コアで実行する新型チップ発表

デュアル設計の仕組み

11コアがArm/Z命令を切替
2ナノ世代で5.7GHz超の高速コア
切替遅延は実質ゼロ
AI推論アクセラレータを搭載

AI基盤としての狙い

Arm開発者2200万人を取込み
次世代Spyreで大規模言語モデル稼働

投入時期と今後

後継z17系、2028年ごろ投入想定
既存Z系ハードも継続開発
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IBMは24日、半導体の技術カンファレンス「Hot Chips」で、Arm命令とIBM独自のZ命令を同じコア上でナノ秒単位に切り替えて実行できる新型メインフレーム向けプロセッサを発表しました。次世代のIBM Z・LinuxONEシステムに搭載される見通しで、銀行や保険会社などの基幹システムに、急拡大するArm系AIソフトウェア資産を直接統合する狙いがあります。

新型チップは11個の高性能コアを備え、KVMハイパーバイザーがArm64 LinuxとZ向けLinuxの仮想マシンを振り分けるたびに、コア自体が動作モードを切り替える仕組みです。IBMシステムズ開発担当CTOのクリスチャン・ヤコビ氏によると、切替に要する時間はナノ秒単位で、性能への実質的な影響はほぼゼロだといいます。2ナノメートルの最先端プロセスで製造され、基本周波数は5.7GHz超と業界屈指の速さを誇ります。

背景にあるのは、s390xアーキテクチャ向けに全ソフトウェアを個別移植する負担の大きさです。Arm陣営には世界で2200万人超の開発者がおり、2025年には主要クラウド事業者向け計算資源の約半分がArm系だったとされます。IBM Z・LinuxONE担当のティナ・タルキニオ最高製品責任者は、顧客が求めていたのは『デュアルアーキテクチャそのもの』ではなく、周辺ワークロードを素早く動かせる環境だったと説明しています。

今回はAIアクセラレータ「Spyre」の次世代版も同時に披露されました。従来はTelumチップによる取引内での不正検知など低遅延推論が中心でしたが、新型は大規模言語モデルを用いたエージェントワークフローや文書理解、保険査定業務にも対応する高性能仕様になるといいます。高帯域幅メモリーを搭載し、基幹データの近くでAI推論を実行できる点が強みです。

チップは2025年に出荷されたz17の後継機に搭載される見込みで、IBMの製品サイクルから逆算すると2028年前後の投入が想定されます。タルキニオ氏は既存のZアーキテクチャを縮小するものではないと強調し、伝統的なZ系ハードウェアの開発も並行して続けると述べました。対応はまずLinux環境に限られ、実運用環境での性能や耐障害性の検証はこれから数年かけて進める段階だとしています。