SpaceXがタービン翼を内製、稼働を最大18カ月前倒し

自社製造の狙い

米バストロップに秘密工場
タービン翼を内製化
供給網は4社が寡占

電力供給への効果

最大18カ月前倒し
ガスタービン増産を加速

汚染への懸念

メンフィスで無許可疑惑
NAACPが是正要求
年間最大6.5人死亡推計
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米宇宙企業SpaceXを率いるイーロン・マスク氏は8月29日、同社がテキサス州バストロップで進めていた秘密工場の目的を、ガスタービンの翼(ブレード)の内製鋳造だと明らかにしました。人工知能(AI)データセンター向け電力不足の解消を狙ったもので、外部委託より最大18カ月早くタービンを稼働させられるといいます。同日には調査報道メディアThe Informationが、求人情報などから同社が鋳造工場を建設中と報じており、マスク氏の発言はこれに応じた形です。

AI業界では画像処理半導体(GPU)の不足に加え、電力網の逼迫という新たな制約が浮上しています。国際エネルギー機関(IEA)は2030年までに世界のデータセンター消費電力がほぼ倍増すると予測しており、タービン大手GEベルノバは2030年までの生産枠がほぼ売り切れの状態です。

タービン翼は摂氏約1650度から2000度という、素材の融点を上回る高温にさらされるため、単結晶構造で欠陥なく鋳造する高度な技術が必要です。この製法を量産規模で実現できる企業は世界に4社しかなく、いずれも受注が満杯の状態が続いています。

SpaceXが内製化に成功すれば、他のAIインフラ事業者が依存する寡占的な供給網から独立し、競合他社に対する優位性を握ることになります。マスク氏は自社の太陽光発電と組み合わせ、天然ガスタービンを橋渡し役として活用する考えを示しています。

一方で、ガスタービンの増設は大気汚染への懸念とも表裏一体です。同氏が率いるxAIがメンフィスで稼働させるタービンについて、全米黒人地位向上協会(NAACP)は必要な許可や排出制御を経ていないと繰り返し批判しています。研究者は近隣で大気汚染がわずかに悪化したとの分析結果も示しています。

バージニア州の「データセンター街道」でも同様の問題が指摘されています。米環境保護庁(EPA)の手法を用いた民間調査では、1施設のタービン群だけで年間3.4人から6.5人の早期死亡と、最大9900万ドルの健康被害額が生じると推計されています。