NYU Tandonが疾患起点の学際研究所を設立

導入事例インフラ

疾患中心の研究体制

疾患状態を軸に研究者を結集
免疫系を再教育する逆ワクチン開発
阻害から活性化へのパラダイム転換

学際人材の育成戦略

工学者が生物学者と区別不能な水準に
マンハッタンに共同拠点新設
研究開始前に実用化経路を検証

AIと生物学の融合

AIで研究期間を10年から5年に短縮
複数タンパク質の協調設計が次の課題
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NYU Tandon School of Engineeringは、従来の学問分野別ではなく疾患状態を中心に研究者を組織する新たな研究所「Institute for Engineering Health」を設立しました。同研究所を率いるJeffrey Hubbell教授は、免疫学・分子工学・材料科学を横断する「逆ワクチン」の開発を進めており、セリアック病やアレルギーの治療に応用することを目指しています。

従来の製薬業界は、特定の分子を阻害する抗体技術を中心に発展してきました。Hubbell教授はこのアプローチの限界を指摘し、阻害ではなく活性化によって複数の病的経路を同時に制御する手法を提唱しています。生体分子やナノ材料、超分子構造を活用し、免疫寛容や抗腫瘍免疫を促進する研究が進んでいます。

人材育成の面では、工学者が生物学者と見分けがつかない水準の学際的研究者の養成を重視しています。NYUはマンハッタンに大規模な科学技術ハブを新設し、AI研究者、免疫工学者、材料科学者、量子工学者などを物理的に近接させることで、分野を超えた「衝突」を意図的に生み出す環境を整備しています。

研究の実用化にも独自の手法を採用しています。多年度の研究プログラムを開始する前に「翻訳演習」と呼ばれるセッションを実施し、発見から実装までの全経路を事前にマッピングします。失敗しうるポイントや迅速な仮説検証の方法を特定し、臨床試験の期間や計算手法の安全な展開方法まで計画します。

Juan de Pablo副学長は、AIが研究タイムラインを劇的に圧縮しつつあると述べ、10年かかると想定していた研究が5年で完了する可能性を示唆しました。一方で、AlphaFoldのような単一タンパク質の予測を超え、複数のタンパク質が協調して機能する複雑な生体システムの設計が次の課題であると指摘しています。NYUはこうしたデータセットや計算フレームワークの構築を主導する方針です。