DeepMind系創薬AI、隠れた標的を発見
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Google DeepMindから独立したIsomorphic Labsが、従来は狙えなかったタンパク質の隠れた結合部位をAIで特定する技術を進めています。同社は2月、新システム「Isomorphic Drug Design Engine(IsoDDE)」の技術報告を公開し、薬剤が結合する「ポケット」の発見やタンパク質と薬剤分子の相互作用予測を可能にしました。
同社の機械学習部門でグループリーダーを務めるAdrian Stecuła氏によると、ノーベル賞を受けたAlphaFold2はタンパク質の折りたたみ問題をほぼ解決し、AlphaFold3は核酸や小分子リガンドなど他の生体分子との相互作用も単一の枠組みで扱えるようにしました。ただ訓練データから遠い新規ポケットほど性能が落ちる弱点があり、未知の作用機序を狙う創薬には不十分でした。
IsoDDEはこの限界に挑む統合システムで、構造予測・ポケット同定・結合親和性予測という3つの出力を備えます。検証では、今年1月にNature誌が初めて報告したcereblonという重要タンパク質の新規cryptic pocketを、配列情報だけから正確に予測できました。
cryptic pocketとは、単体のタンパク質を見ても空洞が存在せず、適切なリガンドが結合した時にだけ開く非自明な部位です。同社のモデルは結合部位の場所だけでなく、既知部位と新規部位それぞれへのリガンドの結合様式まで、論文の結晶構造を再現する形で言い当てました。
この成果は事業面でも裏付けられています。同社はNovartisやEli Lillyと大型の創薬提携を結び、最近のシリーズBで21億ドルを調達しました。手法は小分子だけでなく抗体や分子糊、ペプチドにも一般化し、これまで「薬で狙えない」とされてきた疾患関連タンパク質を治療対象に広げる可能性があります。
ただStecuła氏は、構造を正確にモデル化できたからといって創薬が解決済みというのは誤解だと釘を刺します。実用には多数の出力を備えた統合システムが必要であり、同社は公開済み・未公開の指標の双方で性能向上を続ける構えです。仮説生成から検証、結果分析までをAIが担うエージェント型の創薬も、将来像として描いています。