F5、本番AIの脆弱なデータ経路を警告
データ配信層の構築
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クラウドサービス企業のF5は、AIワークロードを実証実験から本番運用へ移す際、データ配信の経路がシステムの拡張性を左右すると指摘しました。ストレージと計算資源を直接つなぐ構成は、デモ環境では問題なく動く一方、持続的で同時並行的な本番トラフィックの下では破綻しやすいといいます。
問題の核心は、AIワークフローがS3ストレージを中核資源として扱うようになった点にあります。しかしストレージとクラスタ間のネットワークは、GPUを最適稼働させるための高スループットで途切れないデータ移動を前提に設計されていませんでした。同社のPaul Pindell氏は、単一のストレージノードが故障すると全トラフィックが劣化し、場合によってはクラスタ全体が停止すると述べています。
停止の代償は大きいといいます。推論パイプラインが停滞すればSLAと顧客体験の問題になり、RAGシステムが遅延すればモデルが最新の文脈を失い、不正確な応答やハルシネーションを招きます。同時に、高価なGPUが遊休状態となりコストを押し上げます。
F5はこの課題に対し、データ配信をネットワークが「単に動く」前提に頼らない第一級の基盤層として扱う方針を示しました。具体的には可観測性、プログラマビリティ、障害耐性の三つを組み込み、Dell ObjectScale向け構成ではBIG-IPをストレージと計算層の間に制御点として配置します。
この構成は、QoSや接続数制限によってストレージを過負荷から保護します。同社は第三者機関SecureIQLabの検証により、こうした保護がスループットを犠牲にしないことを確認したとしています。ハイブリッドやマルチクラウド環境では、統一的な可観測性とプログラム可能なトラフィック管理を組み合わせ、一貫した制御と回復力を実現する狙いです。
F5のHunter Smit氏は、永続的な実証段階から抜け出す組織は障害を常態と捉える設計規律を共有していると語ります。遅延や輻輳、部分的な障害が起きる前提で、それを吸収できるデータ経路を築くことが、本番運用と試作の分かれ目になるという見方です。