NVIDIA、通信網を自律運用するAIエージェント基盤を公開
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NVIDIAは2026年6月23日、コペンハーゲンで開催中のTM Forum「DTW Ignite 2026」で、通信事業者向けの自律ネットワーク運用基盤を公開しました。これまで生成AIによる自動化は決められた手順を高速化するタスク単位の支援にとどまっていましたが、AIエージェントが障害を能動的に監視し、ネットワークやIT、業務システムをまたいで変更を調整する自律運用へと軸足を移します。
基盤となるのは通信ドメインに特化した推論モデルです。事業者の54%がデータ関連の課題を最大の障壁に挙げる中、機密性の高い顧客・ネットワークデータをそのまま使えない問題に対し、合成データで対処します。SoftBankはNVIDIA NeMo Safe SynthesizerやNeMo Anonymizerを用い、実データの構造を反映したプライバシー保護データを生成し、自社の大規模通信モデルの微調整に活用しています。
長時間稼働するエージェントの安全な運用には、ポリシーに基づく制御が欠かせません。NVIDIAは「NemoClaw」ブループリントと安全な実行環境「OpenShell」を提供し、通信システムへのアクセスをサンドボックス化します。これによりエージェントの挙動を予測可能で監査可能な状態に保ちながら、運用での役割拡大を進められます。
採用企業の事例は多岐にわたります。AdaptKeyは5Gの自己修復運用に、Amdocsはローミング客への先回り対応や移行管理に、NTT DATAはNemotronモデルと組み合わせてネットワーク劣化の検知に活用します。ServiceNowは「Project Arc」を通信向けに展開し、アラートから作業指示までインシデント対応の全工程を自律運用します。TCSも多段階の「AIセンサー」構成で障害発見を高速化しています。
信頼性を担保する鍵がシミュレーションです。GPU上で処理を高速化し、エージェントが提案を実環境に適用する前に検証できる近リアルタイム環境を整えます。Forskは無線伝搬モデルをNVIDIA RTX PRO 6000 Blackwellで動かし、CPU比200倍の高速化を実現しました。VIAVIもRANシミュレーションをGPUに移し、桁違いの処理量向上を示しています。
KDDIとKDDI総合研究所は、NVIDIAやKeysight、Samsung Research Americaと連携し、6G時代に向けた高精度RANデジタルツインを構築します。NVIDIA Aerial Omniverse Digital Twinを用いた環境で、複数の自律エージェントがエリア最適化や将来の無線条件といった「もしも」のシナリオを安全に検証できるようになります。