MIT、LED並み消費電力で3D地図を作る新型チップ
詳細を読む
米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが2026年6月、わずか約6ミリワットの電力で周囲の詳細な3次元地図をリアルタイムに作成できる新型チップを発表しました。消費電力は1個のLED程度にとどまり、バッテリー容量の限られた小型自律ロボットでも、障害物を避ける衝突回避経路を計画できるようになります。
従来、精密な3D地図の生成には大きな電力と大容量メモリを要しました。画像を立方体の画素「ボクセル」として保存し、各画素を何度も処理する必要があったためです。研究チームは効率的なマッピングアルゴリズムと専用ハードウェアを組み合わせる協調設計で、この課題を解決しました。
鍵となるのが、障害物を楕円体の塊「ガウシアン」で表現する手法です。楕円体は大きさや形を滑らかに調整できるため、剛直な立方体よりも曲面を効率的に表せます。さらに深度画像を1回の走査で処理して画像を破棄する技術により、チップは画像全体を保持せずに済みます。
「Gleanmer」と名付けられたこのチップは、同研究室が開発したアルゴリズム「GMMap」を採用しています。重なり合うガウシアンを元の画素に戻さず直接統合することで、地図をさらにコンパクトにし、メモリと電力の要求を大幅に抑えました。処理中のガウシアンはチップ内の高速メモリに置かれ、遠くの記憶装置から呼び出す必要がありません。
性能試験では、iPhoneカメラからのライブ映像からも障害物と空間を再現できました。地図構築に要する電力は既存の最良チップの約2.5%にとどまり、経路計画では通常の約20%のエネルギーで安全な軌道を描けたといいます。研究を率いるヴィヴィアン・スゼ教授らはIEEEの学会で成果を発表しました。
応用先はロボットにとどまりません。長時間装着できる軽量の拡張現実(AR)ヘッドセットや、医療シミュレーション、精密な修理・組立作業も視野に入ります。共著者でMITのサータク・カラマン教授は「指でつまめるチップで小型自律システムに必要なリアルタイム3D地図が初めて実現した」と意義を強調しました。