AI電力需要でメルボルンがクリーンエネルギー拠点に

AIが招く電力課題

データセンター需要の急拡大
2035年に国内電力の最大11%
計算力から電力系統へ論点移行
発電・送電・信頼性への圧力

メルボルンの強み

再エネと蓄電の統合基盤
産学官の緊密な連携
メルボルン大の学際研究拠点

国際連携の加速

2027年にIEEE PES会議招致
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人工知能の普及が世界の計算需要を押し上げる一方で、それを支える電力システムという新たな制約が同じ緊急度で浮上しています。オーストラリアのメルボルンは、この課題に対し単なる参加者ではなく、解決策を定義する世界的な拠点へと動き出しています。米IEEEの技術誌が現地の取り組みを報じました。

焦点となるのは電力需要の急増です。同国のデータセンター2035年までに国内電力消費の最大11%を占めると予測され、発電・送電・系統信頼性への圧力が高まっています。IEEE電力エネルギー協会は、AIとデジタル基盤の需要への対応を、今後10年で技術者が直面する最重要課題の一つに挙げています。

メルボルンが位置するビクトリア州は、再生可能エネルギーの発電、蓄電池、送電網の近代化を統合した先進的なエネルギー生態系を築いてきました。強みは個々の技術ではなく、それらをシステム規模で結びつける点にあります。政府・産業・大学の連携が、電力と計算基盤を一体で設計するAI時代に不可欠だからです。

この能力の中心にあるのがメルボルン大学です。同大工学部長のニルマラサス教授は「課題はもはや計算能力だけでなく、それを支える電力システムだ」と指摘します。同大のスマートグリッド研究所では、太陽光や蓄電池、電気自動車が将来の送電網でどう相互作用するかを実時間でシミュレーションできます。

同大はジョンズ・ホプキンス大や英インペリアル・カレッジと並び、気候変動とクリーンエネルギーに関する世界7拠点の一つを共同で主導しています。さらに2027年には、世界の技術者や政策担当者が集うIEEE PESの送配電会議「GTD Asia 2027」をメルボルンで開催予定です。こうした国際会議が、大規模なエネルギー転換に向けた協働の場になると期待されています。