英新興、無重力ラボを軌道投入 難治性タンパク質のAI解析へ
出典:WIRED
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英新興企業マスバランスは7月7日、化学実験を自律的に行う小型ラボをスペースXのロケットで地球周回軌道に打ち上げたと明らかにしました。グレープフルーツほどの装置は数カ月間軌道を回り、微小重力下で細胞がどう成長し反応するかを自動計測して地上にデータを送り返します。地上では重力が対流や沈降を生んで測定を乱すため、無重力環境でしか得られない高品質データの取得を狙います。
最大の狙いは、アルツハイマー病やパーキンソン病、一部のがんの原因となる無秩序タンパク質の解明です。これらは地上で絶えず形を変えるため画像化が難しく、グーグルのAlphaFoldのような生命科学モデルの学習データが不足しています。同社のトビー・コール最高経営責任者は、微小重力下ならこうしたタンパク質を分析しやすくなると説明します。
コール氏は無重力で得たデータを使い、モデルの欠落を補うAIアダプターを訓練する計画です。モデルやデータのライセンス提供、データアクセスが同社の収益源になります。今回の任務はまず基本システムとデータ取得の検証が目的で、工業用の生体触媒を宇宙へ運び、光で化学反応の進行を監視します。
軌道上ラボの開発は他社も進めています。英ビオオービットは5月に注射用がん治療薬向けの高純度結晶を育てる試験機を打ち上げ、米ヴァルダ・スペース・インダストリーズも微小重力での医薬品製造に取り組んでいます。両社と違いマスバランスは装置を地球へ回収しない方針で、大気圏再突入の高熱に耐える設計負担を避けられる点が強みです。