警察向けAI売り込み加速、正確性と説明責任に懸念
加速する売り込み
報告書AIの台頭
詳細を読む
米メディアThe Vergeは2026年7月、米国の警察向けにAI製品を売り込む一大商戦の実態を報じました。今年5月にテキサス州で開かれた国際警察長協会(IACP)の技術会議では、顔認証カメラや自動ナンバープレート読み取り装置、報告書作成ツールなど多彩なAI製品が並びました。業界は日常業務の自動化をうたい、警察の意思決定そのものがアルゴリズムに委ねられつつあります。
競争の中心にあるのが、警察が集める膨大なデータを処理するリアルタイム犯罪センター(RTCC)です。新興企業ForceMetricsの「Velocity」に対し、AxonとMotorolaの二大企業がデータ収集機器からRTCCまでを一括提供し、市場の寡占を進めています。Axonは他社の入札を避ける単一供給契約を武器に、製品を次々と売り込んでいます。
中でも注目は報告書作成AIです。警察官は勤務時間の約40%を報告書作成に費やすとされ、AxonのChatGPT改良版ツール「Draft One」はこの負担軽減をうたいます。同社のAI製品売上高は前年同期比で700%増と急伸し、AIサブスクの契約数も140%伸びました。
一方で懸念も根強く残ります。Draft Oneは幻覚(ハルシネーション)が起きないとされますが、ユタ州では背景音声を誤認識し警官が「カエルに変身した」と記述する誤りが起きました。人間の報告書と異なりAIの「ブラックボックス」は法廷で反対尋問にかけられず、説明責任や透明性の低下を専門家は警告しています。
過去の予測型警備(PredPol等)は、偏った犯罪データを学習し低所得層や有色人種の地域への偏りを助長した教訓があります。数学的な客観性を装いながら過去の差別を再生産する危険があり、AIの本格導入がこの構造を繰り返す恐れが指摘されています。