NTTデータ幹部、企業AIの壁は技術でなく業務知識
ラストマイル特化の3要素
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NTT DATA AIVistaのブラティン・サハ最高経営責任者は、2026年のVB Transformで、企業AIの成否を分けるのは規制下の本番業務に載せるラストマイルだと語りました。フロンティアモデルを自社データと業務手順、ガードレールで包み込むシステムづくりが価値を生み、モデル単体では届かないという主張です。対談はVentureBeatがスポンサード企画として公開しました。
サハ氏は、企業AIの多くが実装段階でつまずく原因を、統合の不備、ドメイン特化の不足、ガバナンスの欠如、成果に対する責任の曖昧さの四つに整理します。多国籍の保険金請求のような業務では、Fable 5やOpus 4.8、GPT-5.5といった最新モデルでも初期状態では本番に必要な精度に届きません。手書き文字やチェックボックスが並ぶ複雑な帳票が壁になり、ラストマイル特化を経て初めて実用水準に届くと述べました。
特化の作業は三つに分かれます。社内に埋もれた文脈をAIが読める形に整えること、コスト増を抑えるため複数モデルをアンサンブルで使い分けること、そして誤りを検知してやり直しを強制する専用ガードレールを重ねることです。いずれもファインチューニングには頼らず、VentureBeatの企業調査でもファインチューニングはモデル選定の優先度で最下位でした。
保険や製造など規制の厳しい業界で成果を出すには、技術とドメイン知識、そしてチェンジマネジメントの三つが同時に必要だとサハ氏は指摘します。実際の顧客案件でボトルネックになるのは技術ではなく、現場の担当者に作業手順を聞き取り、手順書に残らない暗黙知をエージェントへ落とし込む力だといいます。
導入の順序も明快です。まず既存ワークフローへの組み込みから始めてチェンジマネジメントの負担を抑え、その後に業務そのものの再設計へ進むことで効果が最大になると説明しました。基幹業務を止められない顧客は、稼働中の手順を途中で入れ替えることを許さないからです。
知能をモデルの外側に置く設計は差し替えやすさも保ち、サハ氏のチームはフロンティアとオープンソースのモデルを併用しています。誤りのコストが低い領域はオープンウェイトに任せ、最後の数パーセントの精度が効く場面にフロンティアの推論を残す方針です。ガードレール生成は顧客横断で再利用できる一方、各社の暗黙知の取り込みは個別対応が残るとし、世界有数の保険第三者事務代行として20年培った知見と信頼が模倣しにくい強みだと述べました。