インドAI企業の2.5億ドル買収破綻、創業者に偽造疑惑

破綻した2.5億ドル買収

2025年9月に2.5億ドル買収発表
1年足らずで契約解除
投資家への分配金は未払い

相次ぐ訴訟と疑惑

5300万ドル融資で書類偽造疑惑
COOは署名偽造を主張
創業者は4月末に退任

クリッピング事業

AI編集ツールMagnifi
IPLやFIFA+が顧客
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インドのAIスタートアップVideoVerseが2025年9月に発表した2.5億ドル規模買収が、1年足らずで崩れました。買い手だったスポーツメディア企業Minute Mediaは2026年5月に契約を打ち切り、創業者のヴィナヤク・シュリバスタブ氏は詐欺や署名偽造を訴える複数の訴訟の渦中にいます。デラウェア州の衡平法裁判所には、投資家や債権者からの請求が積み上がっています。

発端は買収直後の資金調達でした。シュリバスタブ氏は2025年10月、投資会社Lingottoから5500万ドルの仕組み融資を取り付け、うち5300万ドルがClippingsの管理する口座に送金されます。ところがLingottoは訴訟で、提出された書類が偽造され、Minute Mediaの最高経営責任者は署名していなかったと主張しています。

返済はすぐに滞りました。2026年3月末に予定されていた400万ドルの支払いは実行されず、一括返済を求めたLingottoは、同社への支払いを待つ債権者の長い列を目にすることになります。4月末までに、シュリバスタブ氏は最高経営責任者の座を退きました。

請求は一社にとどまりません。2023年のラウンドに出資したBluestone Capitalは投資条件違反と売却代金の未払いを理由に詐欺で提訴し、別の債権者は6400万ドルの回収を求めています。元最高執行責任者のサビヤ・ダス氏は、融資契約や自社株買い契約で自分の署名が偽造され、数千万ドルが社外へ流出したと訴えています。

皮肉なのは、事業そのものは成長市場の中核にあった点です。主力製品Magnifiは長尺の試合映像から得点シーンなどを自動で抜き出すAIツールで、インド・プレミアリーグやFIFA+、日本テレビといった顧客を抱えていました。Minute Mediaは米国市場への横展開を描いていましたが、内部の問題が先に表面化します。

この一件が突きつけるのは、デューデリジェンスの限界です。買収が完了した後も両社が別法人として運営され続けたという事実は、書類上の合意と実態の乖離を見逃す余地があったことを示しています。スタートアップの取引がいまだ信頼に大きく依存している現実を、経営者は改めて意識する必要がありそうです。