JAMA論文、AI単独診療が医師超えると予測
論文の主張
反論と懸念
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米医学誌JAMAに今月掲載された論文で、医療倫理学者のエゼキエル・エマニュエル氏とベンチャー投資家のヴィノド・コスラ氏らが、自律型AIが医師や医師とAIの協働体制を上回り、最良の医療を提供する時代が到来すると主張しました。論文は病歴聴取や診断など5つの基本的な医療業務でAIが人間を超える転換点に近づいていると分析しています。
論文によれば、2024年1月以降に発表されたAI医療関連の研究をレビューした結果、自律型AIが医師とAIの協働より優れた成果を出す転換点に医療は急速に近づいているといいます。対象となるのは病歴聴取、診断、必要な検査の特定、治療方針の決定、慢性疾患の管理という5つの業務です。著者らは「人間が介在するとAIの性能が低下する」とまで主張しています。
筆頭著者のエマニュエル氏は、著名な腫瘍学者でペンシルベニア大学医療倫理・保健政策学部長を務める人物です。かつてはコスラ氏の主張を「不可能だ」と一蹴していましたが、友人であるUCSFのロバート・ワクター氏の著書を読んだことをきっかけに考えを改めたといいます。共著にはAI医療サービスCurai Healthを運営するコスラ氏の息子ニール氏も加わっており、論文には利益相反が明記されています。
一方、米国医師会(AMA)のジョン・ワイト会長は論文に異議を唱えています。分析対象の研究には実験ではなくシミュレーションも含まれており、結論を必ずしも裏付けていないと指摘しました。2026年2月にNature誌に掲載された論文でも、患者の多くが大規模言語モデルとうまく対話できず、専門知識を引き出せなかったとする結果が示されています。
取材に応じたワクター氏自身も、論文の主張には一理あると認めつつ、人間の医師にしか担えない役割は残ると強調しました。悪い診断結果を患者に伝える場面などでは、人間の共感力が依然として重要だといいます。ただ、若い医師がAIに頼りすぎることで診断能力そのものが低下する「脱スキル化」が進む懸念も指摘されています。
コスラ氏は、外科手術や救急医療など当面は医師が必要な領域が残ると認める一方、専門知識や判断力の面では医師の役割は大きく縮小すると述べています。息子のニール氏は、AIに薬の処方権限を与える規制上の動きも近く進むとの見通しを示しました。