英グレーターマンチェスター、NHSのPalantir基盤拒否
契約解除の岐路
マンチェスターの拒否
賛否の対立
詳細を読む
英国政府は、国民保健サービス(NHS)と米Palantirが結ぶ4億ドル超の医療データ基盤契約について、来年2月の解除条項発動の可否を半年以内に判断します。イングランド北部のグレーターマンチェスターは、独自開発した基盤を使い続け、Palantirの導入を一貫して拒否してきました。この事例が、契約解除を求める国会の議論を後押ししています。
Palantirは2023年、NHS全体の医療データを統合する「連携データ基盤(FDP)」の開発を英国政府から受注しました。NHSと同社によると、この基盤の導入により待ち時間や入院日数が減少し、手術室の稼働率も向上しているといいます。現在、約200の医療トラストのうち139、36の地域医療委員会(ICB)のうち35がすでに稼働させています。
一方、人口約300万人を抱えるグレーターマンチェスターの地域医療委員会は、10年近くかけて開発した独自基盤「ADSP」を採用し続けています。同委員会は2025年5月の会合で、自前の技術がFDPを2〜3年上回る機能を持つと結論づけました。データ最高責任者のマット・ヘネシー氏は、長年培った住民の信頼こそが基盤の実効性を左右すると説明します。
Palantirをめぐっては、イスラエルでの軍事利用や米国の移民取り締まりへの関与が問題視され、NHS職員による抗議や署名活動、議会調査が相次いでいます。今年6月には超党派の議員団が、単一の外国企業への依存は安全保障上の弱点だとする報告書を公表し、契約解除を政府に求めました。翌月には別の委員会も同様の見解を示しています。
Palantir側やFDP推進派は、ADSPの優位性を裏付ける独立した証拠は乏しいと反論しています。コンサルタントのトム・バートレット氏は、契約を解除すればこれまでの進展が失われ、紙の記録に戻るトラストも出かねないと警鐘を鳴らします。両者の主張は、ケア委員会と病院という異なる用途を比較している点でかみ合っていません。
ヘネシー氏は、技術的に優れていても住民や医療従事者の信頼を得られなければ意味がないと強調します。フランスやスペインなど欧州各国もPalantirとの関係を見直しており、米国製技術への依存低減の動きが広がる中、グレーターマンチェスターの選択は英国全体の判断に影響を与えそうです。